「事務所の会計ソフト、いまのままでよいのか」——。税理士事務所や会計事務所の所長様、実務リーダーの皆様の中には、このような疑問を抱えながらも、日々の業務に追われて見直しを後回しにしている方が少なくないのではないでしょうか。1987年の創業以来、約40年にわたって税理士・会計事務所向けに会計ソフトを提供し続けてきた株式会社カームが、当事者としての立場から、業界の実情とソフト選定のリアルを正直に解説します。
世の中には様々な会計ソフトの比較記事が溢れていますが、その多くは転職メディアや一般企業向けの表面的な情報にとどまっています。本記事では、事務所の生産性を左右する「顧問先とのデータ連携」や、長年使ってきた定番ソフトからの乗換え検討軸など、現場の所長様が本当に知りたい実務的な視点に踏み込みます。ランキング形式や他社の名指し批判は行わず、あくまで客観的な事実と現場の肌感覚に基づいた「5つの判断軸」をお届けします。事務所の未来を創るためのソフト選びの一助として、ぜひ最後までお読みください。
なお、開業時のソフト選びについては、本記事では割愛いたします。これから開業される先生方は、既存記事「開業税理士のための準備と費用一覧」を先にご参照ください。
第1章 会計ソフトが進化しても税理士が「いらなく」ならない理由

近年、クラウド会計ソフトや生成AIの急速な進化に伴い、「会計ソフトが進化すれば税理士はいらなくなるのではないか」という税理士不要論が一部で囁かれています。特に、2026年問題として会計業界のAI活用が本格化する中、このような不安を抱く声は後を絶ちません。しかし、業界に約40年携わってきたベンダーの視点から明確に申し上げます。会計ソフトがどれほど進化しようとも、税理士の存在価値が失われることはありません。むしろ、ソフトが進化するほど、先生方の付加価値業務は増えていくのです。

AIとクラウドが代替するのは「処理」のみ
確かに、レシートや請求書のAI読み取り(OCR)、銀行明細の自動連携、そしてそれらに基づく自動仕訳の精度は飛躍的に向上しています。単純なデータ入力や定型的な記帳代行業務といった「処理」の部分は、今後ますます機械に置き換わっていくでしょう。しかし、これは税理士の仕事が奪われることを意味するのではなく、税理士が本来行うべき高度な業務に集中できる環境が整いつつあると捉えるべきです。
実際に、大手クラウド会計ソフト各社は「AIが自動仕訳を行う」機能を前面に打ち出しています。しかし現場の実態はどうでしょうか。自動仕訳の精度は確かに上がっていますが、業種特有の取引や複雑な仕訳パターンに対しては、依然として人間によるチェックと修正が欠かせません。AIが「おそらくこの勘定科目だろう」と提案した仕訳を、そのまま鵜呑みにして決算を組んでしまえば、誤った財務諸表が出来上がります。その最終的な正確性を担保する責任は、税理士にあります。AIは「補助者」であり、「代替者」ではないのです。
税理士の真の価値は「判断」と「対話」にある
AIやシステムには決して代替できない領域があります。それは、グレーゾーンにおける税務上の「判断」や、経営者の悩みに寄り添う「対話」です。例えば、特定の支出が経費として認められるかどうかの判断、税務調査における調査官との折衝、さらには資金繰りや事業承継に関する経営者へのアドバイスなどは、過去のデータからパターンを抽出するだけのAIには到底不可能です。
システムが日々の記帳を自動化し、リアルタイムで試算表を生成してくれるようになれば、税理士はより早く、より正確な数字をもとに経営者と対話することができます。「過去の処理」に費やしていた時間を「未来の戦略」を練る時間に転換することこそが、これからの税理士事務所に求められる姿です。この点については、税理士とAIの共存に関する解説記事や2026年問題と税理士業界の展望でも詳しく触れていますので、併せてご参照ください。
「会計ソフトの進化」と「事務所の価値向上」は表裏一体
会計ソフトが進化すればするほど、事務所の業務フローも変わります。記帳代行に多くの時間を割いていた事務所が、ソフトの自動化によってその時間を解放できれば、浮いたリソースを「経営コンサルティング」「資金調達支援」「事業承継対策」といった高付加価値業務に振り向けることができます。これは、顧問料の単価向上にも直結します。
つまり、会計ソフトの選定は単なる「コスト管理ツールの選択」ではなく、「事務所の将来の業務モデルをどう設計するか」という経営判断そのものです。どのソフトを選ぶかによって、5年後・10年後の事務所の姿が大きく変わってくるのです。
第2章 税理士業界で使われている会計ソフトの全体像

事務所の会計ソフトを見直すにあたり、まずは業界全体でどのようなソフトが使われ、どのように住み分けられているのかを俯瞰してみましょう。会計事務所向けのソフトは、大きく「鎖国系(科目コード必須型)」と「グローバル系(科目コード不要型)」の2つに大別されます。この分類は当社の業界観察に基づく整理であり、業界の公式分類ではありませんが、現場の実態を把握するうえで有用な視点です。

業界を二分する「鎖国系」と「グローバル系」
長年、多くの会計事務所で親しまれてきたのが、TKC、JDL、MJS(ミロク情報サービス)などに代表される「鎖国系」の専用ソフトです。これらの最大の特徴は、独自の勘定科目コード体系を持ち、テンキー入力による圧倒的な処理スピードを実現している点です。熟練したスタッフであれば、画面を見ずとも指がコードを記憶しており、極めて高速な入力が可能です。一方で、他社システムとのデータ連携には専用の変換ツールが必要になるなど、閉鎖的なエコシステムを形成している傾向があります。
これに対し、近年シェアを伸ばしているのが、弥生会計、freee、マネーフォワード(MF)クラウドなどの「グローバル系」です。これらは科目コードに依存せず、銀行API連携やCSV取り込みを前提として設計されています。他システムとのデータ連携が容易であり、顧問先との共有もスムーズに行えるのが強みです。
各ソフトの特徴と住み分け
業界で使われている主要なソフトの特徴を、ランキングや優劣ではなく「住み分け」の観点から整理すると、以下のような傾向が見えてきます。
| 系統 | 代表的なソフト | 主な強み | 主な課題 |
|---|---|---|---|
| 鎖国系(専用機型) | TKC、JDL | テンキー入力の高速処理、専用サポート体制 | 他社連携の難しさ、高コスト傾向 |
| 鎖国系(ソフト型) | 達人シリーズ(NTTデータ)、MJS | 申告書との連動、業界標準の安心感 | 独自仕様による習熟コスト |
| グローバル系(クラウド) | freee、マネーフォワードクラウド | 銀行API連携、スタートアップ顧問先との親和性 | 処理速度、複雑仕訳への対応 |
| グローバル系(パッケージ) | 弥生会計 | 幅広いユーザー層、豊富な機能 | クラウド共有機能の制限 |
| ハイブリッド型 | サクラス財務クラウド | ローカル処理速度+クラウド共有、達人連動 | 認知度(まだ広がり途上) |
この表はあくまでも当社の業界観察に基づく整理であり、各社の製品は継続的に進化しています。最新の機能については各社の公式情報を必ずご確認ください。
シェアの実感と最新動向
会計事務所における実際のシェアはどうなっているのでしょうか。実務経営サービスが2017年に実施した調査(有効回答111件)では、顧問先に導入済・導入予定のクラウド会計ソフトとして、MFクラウドがトップ(54事務所)、次いでfreee(34事務所)、弥生オンライン(13事務所)という結果が出ていました。なお、有効回答111件と少なめなのであくまで参考データとしてご理解ください。
また、個人事業主を対象とした広範な調査(MM総研、2025年4月発表)では、クラウド会計ソフトの事業者別シェアにおいて、弥生が55.4%と過半数を占め、freeeが24.0%、マネーフォワードが14.3%と続き、上位3社で93.7%を占めています。ただし、この調査は「個人事業主のクラウド会計ソフト利用」を対象としたものであり、会計事務所の基幹システムのシェアとは異なる点にご留意ください。
約40年にわたり現場を見てきた当社の肌感覚としては、歴史ある会計事務所の基幹システムとしては、依然としてTKCやJDLなどの専用機・専用ソフトが強固な基盤を持っています。一方で、顧問先とのデータ連携やペーパーレス化の波を受け、事務所内は専用ソフトを使いつつ、顧問先からのデータ回収にはクラウド系を活用するという「ハイブリッド運用」を模索する事務所が増加しています。
サクラス財務クラウドの立ち位置
このような業界の現状において、当社が提供する「サクラス財務クラウド」は、鎖国系の「入力の速さ」とグローバル系の「連携のしやすさ」を両立したハイブリッド型として独自の立ち位置を築いています。ローカルPCで処理するため決算期の大量データでも軽快に動作しながら、クラウドを通じた顧問先とのリアルタイムデータ共有と、NTTデータの達人シリーズへの標準連動を実現しています。詳細は第5章でご紹介します。
なお、本章でご紹介した各ソフトの詳細な機能比較や料金については、それぞれの公式サイトをご確認ください。本記事では特定のソフトの優劣を断定するのではなく、あくまでも「事務所の状況に合った選択をするための視点」を提供することを目的としています。
第3章 事務所の会計ソフト選定 5つの判断軸

会計事務所の基幹となる会計ソフトを選ぶ際、どのような基準で判断すべきでしょうか。単なる機能比較や一般向けのレビューではなく、事務所経営の実務に直結する「5つの判断軸」を解説します。
1. 顧問先とのデータ連携の容易さ
これからの会計事務所において、最も重要となるのが「顧問先といかにスムーズにデータをやり取りできるか」です。記帳代行から自計化への移行を進める上でも、データ連携の壁が立ちはだかります。
顧問先が入力したデータを事務所側でどう受け取るか。USBメモリやメール添付でのやり取りは、セキュリティリスクがあるだけでなく、バージョン違いによる取り込みエラーや、先祖返り(修正前のデータで上書きしてしまうミス)の原因となります。クラウドを通じてリアルタイムで同じデータを共有できるか、あるいは顧問先が使っている様々な他社ソフトのデータを柔軟にインポート(CSV連携等)できる機能が備わっているかが、事務所の生産性を大きく左右します。
特に注目すべきは、顧問先が使っているソフトの多様化です。かつては「事務所が指定したソフトを顧問先に使わせる」というトップダウンの関係が一般的でしたが、現在は顧問先側がすでにfreeeやマネーフォワードを導入しているケースも珍しくありません。そのような顧問先のデータを「どう受け取り、どう処理するか」という受け入れ側の柔軟性が、事務所の競争力を左右します。
2. スタッフの習熟・採用への影響
ソフトの操作性は、既存スタッフの業務効率だけでなく、新たな人材の採用や育成にも直結します。
長年特定の専用ソフトを使いこなしてきたベテランスタッフにとって、全く異なる思想のソフトへの移行は強い抵抗感を生むことがあります。一方で、独自仕様が強すぎるソフトは、新たに入社したスタッフ(特に他業界や他ソフト経験者)の教育コストを増大させます。直感的に操作できるか、画面の遷移に無駄がないか、そして何より「繁忙期の大量入力に耐えうるレスポンスの速さ」があるか。クラウド型であっても、入力のたびに画面のローディングで待たされるようでは、実務には耐えられません。
また、採用の観点からも「使用ソフト」は重要な要素です。求人票に記載するソフト名が、応募者の選択に影響することがあります。業界で広く知られたソフトであれば「経験者採用」がしやすくなりますが、逆に独自仕様の強いソフトの場合、「未経験者を育てる」前提での採用設計が必要になります。どちらが良い・悪いではなく、事務所の採用戦略と整合しているかどうかが重要です。
3. 料金体系(月額×席数×顧問先数)
事務所の利益を圧迫しない、適正かつ透明な料金体系であることも重要です。
会計ソフトの料金体系は、「基本料金+ライセンス(PC台数)料金+顧問先データ件数に応じた従量課金」という構造になっていることが多く見られます。特に注意すべきは「顧問先の登録件数」による課金です。事務所が成長し、顧問先が増えれば増えるほど、雪だるま式にランニングコストが膨れ上がる契約になっていないか確認が必要です。また、5年リースなどの長期拘束を伴う専用機契約の場合、途中解約が困難であり、事業環境の変化に柔軟に対応できないリスクがあります。
料金を比較する際は、「月額の表面単価」だけでなく、「5年間の総コスト(TCO:Total Cost of Ownership)」で比較することをお勧めします。ハードウェアの更新費用、保守費用、税制改正対応のバージョンアップ費用、そして移行時の初期設定費用などを含めたトータルコストで評価すると、表面的に安価に見えるソフトが実は高コストだったというケースも少なくありません。
4. 申告ソフトとの連携(達人等へのスムーズな移行)
会計ソフトで作成した決算データを、いかにスムーズに税務申告ソフトへ連携できるかも見逃せないポイントです。
決算書と申告書で数字の転記ミスが起きれば、重大な事故につながります。多くの事務所で利用されているNTTデータの達人シリーズなどの標準的な税務ソフトに対して、シームレスなデータ連動(API連携や専用コンポーネントによる直接書き込み)が標準装備されているかを確認してください。税制改正のたびに複雑なアップデート作業を強いられないかどうかも、システム担当者の負担軽減の観点から重要です。
「会計ソフト」と「申告ソフト」を同一ベンダーで揃えることで連携がスムーズになる一方、特定ベンダーへの依存度が高まるというトレードオフも存在します。例えば、会計ソフトのコストが高騰した際に、申告ソフトとの連携を理由に乗換えが困難になるケースがあります。将来的な柔軟性を確保するためには、業界標準のデータ形式(CSV等)での出力機能が備わっているかどうかも、選定時に確認しておくべきポイントです。
5. サポート体制の質と繋がりやすさ
確定申告期などの繁忙期にシステムトラブルが発生した場合、サポートセンターの対応スピードが命取りになります。
「電話をかけても全く繋がらない」「チャットボットによる定型的な回答しか得られない」といったサポート体制では、現場の業務がストップしてしまいます。会計事務所特有の業務フローを理解した専任のオペレーターが対応してくれるか、必要に応じてリモート(遠隔操作)で直接画面を見ながら解決に導いてくれる体制が整っているか。サポートの質は、ソフトの機能以上に重要な「目に見えない価値」です。
サポートの質を事前に見極めるには、「無料トライアル期間中にあえてサポートに電話してみる」という方法が有効です。繋がるまでの時間、オペレーターの知識レベル、問題解決までのスピードを体験してみることで、本契約後のサポート品質をある程度予測することができます。また、「導入時の初期設定サポート」「スタッフ向けの操作研修」「データ移行支援」といった、契約後のオンボーディング体制が充実しているかどうかも、乗換えの成否を左右する重要な要素です。
5つの判断軸を使った評価フレームワーク
5つの判断軸を整理したうえで、実際の選定プロセスにどう活用するかを示します。下記のような評価表を作成し、検討中のソフトを各軸で評価することをお勧めします。
| 判断軸 | 重要度(事務所による) | 現状ソフト | 検討ソフトA | 検討ソフトB |
|---|---|---|---|---|
| 顧問先とのデータ連携 | 高 / 中 / 低 | ○△× | ○△× | ○△× |
| スタッフ習熟・採用 | 高 / 中 / 低 | ○△× | ○△× | ○△× |
| 料金体系(TCO) | 高 / 中 / 低 | ○△× | ○△× | ○△× |
| 申告ソフト連携 | 高 / 中 / 低 | ○△× | ○△× | ○△× |
| サポート体制 | 高 / 中 / 低 | ○△× | ○△× | ○△× |
重要度は事務所の規模・戦略・現状の課題によって異なります。例えば、顧問先の自計化推進を最優先課題とする事務所であれば「データ連携」の重要度が最も高くなります。一方、スタッフの定着率に課題を抱える事務所では「習熟・採用」への影響を重視すべきでしょう。本記事末尾のダウンロード資料「事務所の会計ソフト選定 5軸チェックリスト」も、ぜひご活用ください。
第4章 定番ソフトの料金・拘束性に悩んだら

長年、特定の定番ソフトや専用機を利用してきた事務所の中には、「コストが高止まりしている」「長期のリース契約に縛られて身動きが取れない」といった悩みを抱える所長様も少なくありません。しかし、長年の蓄積があるがゆえに、乗換えのハードルが高く感じられるのも事実です。
「いつかは見直したい」と思いながらも、「今は繁忙期だから」「スタッフが慣れているから」「データの移行が大変だから」という理由で先送りにしているケースは非常に多く見られます。しかし、先送りにするほど、ソフトへの依存度が高まり、乗換えのコストと心理的ハードルは上がり続けます。まずは「現状を正確に把握する」ことから始めることが、変化への第一歩となります。ここでは、定番ソフトからの乗換えを検討する際の具体的な3つのステップを解説します。

ステップ1:現状コストの棚卸しと可視化
まずは、現在支払っているシステム関連費用の全体像を正確に把握することから始めます。ハードウェア(専用サーバーやPC)のリース料、ソフトウェアの利用料、保守・サポート費用、そしてバージョンアップのたびに発生する追加費用など、分散しているコストをすべて洗い出します。その上で、「そのコストは現在の事務所の規模や提供している価値に見合っているか」を検証します。使っていない過剰な機能に対して高い費用を払い続けていないか、客観的な視点で見直すことが第一歩です。
ステップ2:移行データの確認とエクスポート検証
乗換えにおいて最大の懸念となるのが「過去のデータの引き継ぎ」です。多くのソフトでは、仕訳データや残高データをCSV形式でエクスポートする機能が備わっています。現在使用しているソフトから、どのような形式でデータを出力できるのか、そして検討中の新しいソフトがそのデータをどこまで正確にインポートできるのかを事前に検証します。すべての過年度データを新しいソフトに乗せ換える必要はなく、「過去のデータは旧システムの閲覧用PC(またはPDF/紙)に残し、新年度の入力から新システムに切り替える」という割り切りも、スムーズな移行のコツです。
ステップ3:並行運用設計とスタッフの巻き込み
システムを一斉に切り替えるのはリスクが伴います。最初は特定の担当者や、新規に契約した顧問先数件など、限定的な範囲で新しいソフトを導入し、既存システムと並行運用する期間を設けることをお勧めします。
この段階で重要なのは、実務を担うスタッフを巻き込むことです。「コスト削減のため」という経営側の論理だけでなく、「データ連携が楽になる」「リモートワークにも対応できる」といった、現場のスタッフにとってのメリットを丁寧に説明し、新システムへの抵抗感を和らげることが成功の鍵となります。
乗換えを成功させた事務所に共通しているのは、「所長が主導権を持ちつつ、スタッフの意見を丁寧に拾い上げる」プロセスを踏んでいる点です。新システムの選定段階から、実際に使うスタッフを巻き込み、「試用してみてどうだったか」というフィードバックを反映させることで、移行後の定着率が大きく変わります。
第5章 サクラス財務クラウドの実際

この章は、株式会社カーム自社製品「サクラス財務クラウド」の紹介です。広告・PRとしてお読みください。
ここまで、会計ソフト選定の一般的な判断軸について解説してきました。ここで少しだけ、私たち株式会社カームが提供する「サクラス財務クラウド」の実際について紹介させてください。
サクラス財務クラウドは、会計事務所の現場の声を反映して開発された、プロ仕様のクラウド財務会計ソフトです。最大の特徴は、「1ライセンスで顧問先の登録件数が無制限」という点です。どれだけ顧問先が増えても、追加のデータ登録料は一切かかりません。
実画面に見る「直感的な操作性」
実際の入力画面は、極めてシンプルに設計されています。不要な装飾を排し、仕訳入力に集中できるインターフェースを採用。前期と当期のデータを同時に表示できる「2画面マルチウィンドウ」機能を搭載しており、前期の仕訳を参照しながらの入力やコピー&ペーストが容易に行えます。また、クラウドシステムでありながら、プログラム自体はローカルPCで稼働するため、決算期の膨大なデータ処理時でも、画面の切り替わりで待たされるようなストレスがありません。
達人シリーズとのシームレスな連動
サクラス財務で作成したデータは、NTTデータの税務ソフト「達人シリーズ」へそのまま連動させることができます。連動コンポーネントのインストール作業すら不要で、サクラス財務をインストールするだけで、法人税、消費税、内訳書、概況書、所得税の各達人シリーズへスムーズにデータが引き継がれます。
料金体系(税抜)
サクラス財務クラウドの料金は、以下の通りです(すべて税抜表示)。

| エディション | 契約台数 | 1台あたり月額料金 |
|---|---|---|
| Professional | 1台〜5台 | 6,000円 |
| Professional | 6台〜10台 | 3,000円 |
| Professional | 11台〜 | 2,000円 |
| Light(顧問先向け) | 台数問わず | 1,000円 |
Professionalエディションは複数台導入で単価が下がるボリュームディスカウント方式を採用しており、顧問先データの登録件数は無制限です。
導入事例に見る実際の声
実際に他社ソフトからサクラス財務へ移行された事務所様の声をご紹介します(導入事例一覧より)。
柴田会計事務所 様(東京都板橋区) 「JDLからサクラス財務へ移行。操作性、費用ともに満足しています。」 大和田税理士事務所 様(栃木県那須塩原市) 「クラウド会計システムと銘打っているものは多くありますが、最も安定していてしかも運用が易しいので採用しました。しかもサポート体制がしっかりしています。」 株式会社 one office 様(東京都港区) 「カームのお客様用ソフトは安価なため、弊社でソフト代を負担して自計化に切り替えていくことも可能であると、今後の展開が見えたこともポイントでした。」
このように、長年使い慣れたシステムからの移行であっても、操作性の良さとコストパフォーマンス、そして手厚いサポート体制をご評価いただいております。
第6章 顧問先には何を使ってもらうか=月1,000円のLight展開

事務所の生産性を飛躍的に高めるための「本丸」は、実は事務所内のシステム以上に、「顧問先に何を使ってもらうか」にあります。顧問先がエクセルや手書きの出納帳でデータを持参し、それを事務所で手入力する「完全記帳代行」のモデルでは、いずれ人手不足とコスト増の限界を迎えます。

顧問先の自計化が事務所の生産性を決める
顧問先自身に会計ソフトへ入力してもらい(自計化)、そのデータを事務所が監査・修正するフローを構築できれば、事務所の入力負担は劇的に削減されます。しかし、高額なソフトを顧問先に導入させるのはハードルが高く、また、操作が複雑すぎると結局「先生のところでやってよ」と投げ出されてしまいます。
月額1,000円の「Lightエディション」という選択肢
そこでカームが提案しているのが、サクラス財務の「Lightエディション」の展開です。これは、仕訳入力や月計・日計表の確認といった基本的な機能に絞り込んだ顧問先向けのソフトで、1台あたり月額1,000円(税抜)という非常に安価な料金で提供しています。
この価格であれば、事務所側でコストを負担して顧問先に無償提供し、自計化を促すことも十分に可能です。顧問先がLightエディションで入力したデータは、クラウドを通じて即座に事務所側のProfessionalエディション(フル機能版)と同期されます。USBの受け渡しも、データのエクスポート・インポート作業も不要です。
先生が勧める「自計化」の進め方3点
顧問先へLightエディションを導入し、自計化を進めるためのポイントは以下の3点です。
- まずは「現金出納帳」の入力から任せる 最初からすべての仕訳を要求するのではなく、顧問先が最も把握しやすい現金の動きの入力だけを依頼し、ハードルを下げます。
- 「クイック仕訳変換」で銀行データを自動化 銀行の取引明細(CSV)を取り込んで自動仕訳化する機能を活用し、顧問先の入力負担をシステムで軽減します。
- 事務所の「監査スピード向上」をメリットとして提示する 「入力してもらうことで、試算表をより早くお返しでき、経営判断に役立てられます」と、顧問先にとっての明確なメリットを伝えます。
この顧問先向け展開の詳細や、具体的な提案手法については、ぜひ月次決算を早期化する顧問先管理の仕組みや顧問先への会計ソフト導入・説明のポイントの記事、そしてサクラス財務 顧問先向けLight展開のご案内のページをご覧ください。
第7章 FAQ

事務所の会計ソフト見直しに関して、よく寄せられる疑問にお答えします。
Q1. 会計ソフトを見直すベストなタイミングはいつですか? A. 決算期や確定申告の繁忙期を避けた、夏場から秋口にかけてが最適です。この時期に比較検討と並行運用テストを行い、翌年の期首から本格稼働させるスケジュールを組む事務所が多く見られます。ハードウェアのリース更新のタイミングも、見直しの良いきっかけとなります。
Q2. freeeと弥生、事務所としてどちらに対応すべきですか? A. どちらか一方に絞る必要はありません。個人事業主や小規模法人でシェアの高い弥生会計と、ITリテラシーの高いスタートアップ層に支持されるfreeeでは、顧問先のターゲット層が異なります。事務所としては、CSVインポート機能などを駆使し、どちらのデータも受け入れられる柔軟な体制(ハブとなる基幹ソフトの選定)を構築することが重要です。
Q3. 顧問先とのデータのやり取りを改善するには? A. 最も確実なのは、事務所と顧問先で「同じクラウドデータベースを見に行く」システムを導入することです。これにより、データの受け渡しという概念そのものがなくなり、先祖返りのミスも防げます。
Q4. ソフト移行時、過年度のデータはどうすればよいですか? A. すべての過去データを新システムに手入力で移行する必要はありません。前年度の期末残高のみを新システムに「開始残高」として登録し、過去の仕訳明細は旧システムの閲覧用PCやPDFデータとして保管しておく運用が最も現実的で負担が少ない方法です。
Q5. サクラス財務の料金体系を教えてください。 A. 事務所向けのフルパッケージ「Professionalエディション」は、1台あたり月額6,000円(税抜)です。6台目以降は3,000円、11台目以降は2,000円と、複数台導入で単価が下がるボリュームディスカウントを採用しています。また、1ライセンスで顧問先データの登録件数は無制限です。
Q6. 開業したばかりで、最初のソフト選びに迷っています。 A. 独立開業時のソフト選びは、既存事務所の乗換えとは異なる視点(初期費用の抑制など)が必要です。詳しくは開業税理士のための準備と費用一覧にて詳しく解説しておりますので、そちらをご参照ください。
まとめ

本記事では、税理士・会計事務所における会計ソフトの選び方について、以下の「5つの判断軸」を中心に解説しました。
- 顧問先とのデータ連携の容易さ
- スタッフの習熟・採用への影響
- 料金体系(月額×席数×顧問先数)
- 申告ソフトとの連携(達人等)
- サポート体制の質と繋がりやすさ
事務所の生産性を根本から改善するためには、事務所内のソフトを高機能なものに変えるだけでは不十分です。「顧問先側の入力環境(自計化)から見直す」ことこそが、最も確実な近道となります。
約40年間、会計事務所の現場に寄り添いながらシステムを提供してきた立場から、率直な私見を述べさせてください。
会計ソフトの選定を「コスト削減のための作業」として捉えている所長先生が、今でも少なくありません。しかし私は、それは本質的に間違った見方だと考えています。会計ソフトは「事務所の業務設計そのもの」を規定するインフラです。どのソフトを選ぶかによって、スタッフが何に時間を使うか、顧問先との関係性がどう変わるか、そして事務所が5年後にどんな姿になっているかが、大きく変わってきます。
AIによる自動仕訳や記帳代行の自動化が進む中、「入力作業を誰がやるか」という問いはすでに時代遅れになりつつあります。これからの問いは「入力作業から解放された時間で、先生は何をするか」です。経営者の相談相手として、資金繰りや事業承継の伴走者として、あるいは地域の中小企業の成長を支えるコンサルタントとして——税理士の役割は、AIが普及するほど、むしろ人間にしかできない領域に純化されていきます。
そのような転換を支えるためのソフト選びは、「今の業務を効率化するツール」を選ぶのではなく、「これからの事務所の姿を実現するためのプラットフォーム」を選ぶという発想で臨んでいただきたいと思います。顧問先とリアルタイムでデータを共有し、試算表を翌月初旬に届け、数字をもとに経営者と対話できる体制——それを実現できるソフトこそが、AI時代の税理士事務所にとっての「正解」です。
ソフトの乗換えは確かに手間がかかります。スタッフの抵抗もあるでしょう。しかし、変化を先送りにするコストは、変化を実行するコストよりも常に大きくなります。「今年こそ見直す」と決めた先生には、ぜひ本記事の5軸チェックリストを手に取り、現状の棚卸しから始めていただければ幸いです。
会計ソフトの選定や、顧問先の自計化推進でお悩みの際は、1987年の創業以来約40年の実績を持つ株式会社カームへお気軽にご相談ください。貴事務所の現状に合わせた最適なプランをご提案いたします。
参考文献・出典
- 実務経営サービス(2017年)「会計事務所を対象にしたクラウド会計ソフトの活用シェア状況について」(有効回答111件、調査期間:2017年4月28日〜5月5日)
- 株式会社MM総研(2025年4月発表)「個人事業主のクラウド会計利用率は38.3%へ、拡大基調続く」(対象:個人事業主のクラウド会計ソフト利用)
