【2025-2026年最新版】電子帳簿保存法でタイムスタンプ未対応ソフトが違法に?最新要件を徹底解説

電子帳簿保存法の基本と2025年以降の変更点

電子帳簿保存法の基本と2025年以降の変更点

電子帳簿保存法とは何か

電子帳簿保存法(正式名称:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)は、国税関係の帳簿書類を電子データで保存する際の要件を定めた法律です。従来、企業や個人事業主は紙での保存が原則でしたが、デジタル化の推進とペーパーレス化の流れを受けて、適切な要件を満たせば電子データでの保存が認められるようになりました。

この法律は単なる保存方法の選択肢を増やすだけでなく、業務の効率化、コスト削減、そして環境負荷の軽減といった多面的なメリットをもたらします。一方で、税務調査への対応や改ざん防止など、厳格な要件が設けられており、適切な理解と対応が求められています。

2022年改正と2024年完全義務化、そして2025年の現状

電子帳簿保存法は、社会のデジタル化に合わせて段階的に改正されてきました。特に2022年1月に施行された改正では、タイムスタンプ要件の大幅な緩和が実現し、企業にとって対応のハードルが大きく下がりました。

この改正における主な変更点として、まずタイムスタンプの付与期限が従来の「3営業日以内」から「最長約2か月と概ね7営業日以内」に延長されたことが挙げられます。これにより、企業は月次処理のサイクルに合わせた運用が可能となり、実務上の負担が大幅に軽減されました。

さらに重要な変更として、訂正削除履歴が残るシステムを利用する場合など、一定の条件を満たせばタイムスタンプそのものが不要となる制度が導入されました。これは、クラウド型の会計システムが普及する現代において、非常に実用的な改正と言えるでしょう。

また、従来必要だった税務署長への事前承認制度が完全に廃止されたことも、企業の事務負担軽減に大きく貢献しています。これまでは電子保存を開始する前に税務署の承認を得る必要がありましたが、この手続きが不要となったことで、スムーズに電子化へ移行できるようになりました。

そして2024年1月、これまで2年間の宥恕期間が設けられていた電子取引データの保存義務化が完全施行されました。国税庁の公式資料によれば、2023年12月31日をもって宥恕措置が終了し、2024年1月1日以降にやり取りされる電子取引データについては、原則として電子保存が義務となっています。

2025年現在、完全義務化から1年以上が経過し、多くの企業が対応を進めていますが、まだ十分な対応ができていない企業も少なくありません。税務調査での指摘事例も増えつつあり、今すぐの対応が求められています。この完全義務化により、ほぼすべての事業者が何らかの形で電子帳簿保存法への対応を求められることになりました。

3つの保存区分を理解する

電子帳簿保存法は、保存方法によって大きく3つの区分に分かれています。それぞれの区分で要件や義務の有無が異なるため、自社がどの区分に該当するのかを正確に把握することが重要です。

第1の区分:電子帳簿等保存は、会計ソフトなどで最初から電子的に作成した帳簿や書類を、そのまま電子データとして保存する方法です。これは任意の制度であり、事業者が希望する場合にのみ適用されます。対象となるのは、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売上帳、仕入帳などの国税関係帳簿です。この区分での保存を選択する場合、一定の要件を満たせば、税制上の優遇措置(過少申告加算税の5%軽減など)を受けられる可能性があります。

第2の区分:スキャナ保存は、紙で受け取った領収書や請求書などの書類を、スキャナやスマートフォンで読み取って電子データとして保存する方法です。こちらも任意の制度となっています。従来は厳格な要件が設けられていましたが、2022年の改正で大幅に緩和され、タイムスタンプの付与期限の延長、適正事務処理要件の廃止など、実務に即した運用が可能となりました。

第3の区分:電子取引データ保存は、メールで受け取った請求書のPDFファイル、ECサイトからダウンロードした領収書、クラウドサービス経由で授受した契約書など、最初から電子データでやり取りされた取引情報を保存する方法です。この区分が最も注目すべきポイントで、2024年1月から完全義務化されており、2025年現在もこの義務は継続しています。つまり、電子取引を行うすべての事業者(個人事業主、中小企業、大企業を問わず)は、電子取引データを法令で定められた要件に従って保存しなければなりません。

この3つの区分のうち、第1と第2は任意ですが、第3の電子取引データ保存だけは義務となっている点が、現在の電子帳簿保存法を理解する上で最も重要なポイントです。

本記事の作成にあたり、最新の法改正情報を反映しています。特に、検索機能の確保が不要となる売上高基準については、2024年1月1日以降、基準期間の売上高が 5,000万円以下 の事業者に拡大されています(従来は1,000万円以下)。これは令和5年度税制改正によるものです。最新の国税庁公式情報を必ずご確認ください。

法令の改正にも注意を払う必要があります。電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があり、改正内容を速やかにキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直します。

よくある質問と回答

よくある質問と回答

Q1: タイムスタンプは完全に不要になったのか?

A: タイムスタンプが完全に不要になったわけではありません。正確には、「一定の条件を満たせば不要」というのが現状です。

訂正削除履歴が残るシステムを利用している場合、訂正削除が技術的にできないシステムを使用している場合、または事務処理規程を整備して運用している場合は、タイムスタンプの付与が不要となります。また、取引相手から既にタイムスタンプが付与されたデータを受領した場合も、受領者側での付与は不要です。

一方、これらの条件を満たさない場合は、従来通りタイムスタンプの付与が必要です。ただし、付与期限は「最長約2か月と概ね7営業日以内」に延長されており、従来の「3営業日以内」よりは対応しやすくなっています。

2025年現在、多くの企業はクラウド型の会計システムなど訂正削除履歴が残るシステムを利用することで、タイムスタンプサービスとの契約なしに法令要件を満たしています。自社の状況に応じて、最も適切な方法を選択することが重要です。

Q2: 既存のソフトが対応していない場合はどうすればよいか?

A: 既存のソフトウェアが電子帳簿保存法に対応していない場合、まずソフトウェアベンダーに対応状況を確認することから始めましょう。

多くのベンダーは、法改正に対応したアップデートを提供しています。アップデートが予定されている場合は、そのスケジュールを確認し、リリース後速やかに適用してください。無償アップデートか有償アップデートかも確認が必要です。

ベンダーが対応予定がない、または対応が大幅に遅れる場合は、以下の選択肢を検討します。

第一の選択肢は、対応済みソフトへの乗り換えです。現在では多くのクラウド型会計システムが電子帳簿保存法に対応しており、比較的低コストで導入できます。ただし、データ移行の手間、操作方法の習得、既存の業務フローの変更などが必要となるため、十分な準備期間を確保してください。

第二の選択肢は、電子帳簿保存法対応の専用ソフトを追加導入することです。既存の会計システムはそのまま使い続け、電子取引データの保存と管理だけを専用ソフトで行うという方法です。二重管理の手間は増えますが、既存システムへの影響を最小限に抑えられます。

第三の選択肢は、事務処理規程による対応です。システム要件を満たさない場合でも、適切な事務処理規程を整備し、それに従って運用することで法令要件を満たすことができます。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。

2025年現在、すでに完全義務化されているため、対応が遅れている企業は税務調査でのリスクが高まっています。早急な対応が必要です。

Q3: 2025年現在、違反するとすぐに罰則があるのか?

A: 2024年1月から完全義務化され、2025年現在すでに1年以上が経過しています。違反が発覚するのは主に税務調査の際であり、調査のタイミングは企業によって異なりますが、税務当局は電子帳簿保存法の確認を重点項目としています。

税務調査は通常、数年に一度のペースで実施されます。中小企業の場合、5年から10年に一度という場合もあります。したがって、対応が不十分であっても、すぐに問題が表面化するわけではありません。

しかし、2025年現在、税務調査での指摘事例が実際に報告されるようになってきており、対応を先延ばしにすることは極めて危険です。税務調査がいつ実施されるかは予測できませんし、調査が入った際に違反が判明すれば、その時点から遡って問題を指摘される可能性があります。

違反が発覚した場合の影響は深刻です。青色申告の承認取り消しのリスク、重加算税10%の加算(改ざん等の悪質なケースの場合)、会社法違反による過料(最大100万円)などの可能性があります。

また、「やむを得ない事情」がある場合の個別判断という救済措置も存在しますが、これは一時的・例外的な措置であり、恒久的な対策ではありません。システム障害や災害など、客観的にやむを得ない状況であると税務署長が認めた場合に限られます。単に「対応が間に合わなかった」「知らなかった」という理由は、特に2025年の時点では、やむを得ない事情として認められる可能性はほぼないでしょう。

まだ対応できていない企業は、今すぐに対応を開始することが最もリスクが低く、長期的にはコストも抑えられる選択です。

Q4: 小規模事業者も対象なのか?

A: 電子帳簿保存法における電子取引データの保存義務は、事業規模に関係なく、電子取引を行うすべての事業者が対象となります。個人事業主、中小企業、大企業を問わず、メールで請求書を受け取る、ECサイトで物品を購入するなど、何らかの形で電子取引を行っている限り、法令の対象となります。

「うちは小さな会社だから関係ない」という認識は誤りです。むしろ、規模の小さい事業者ほど、メール添付のPDF請求書を印刷して保存しているだけ、といった不適切な対応をしているケースが多く、税務調査で指摘されるリスクが高いと言えます。

ただし、小規模事業者に対する一定の配慮措置も設けられています。令和5年度税制改正により、基準期間(原則2年前)の売上高が5,000万円以下の事業者については、税務職員のダウンロード要求に応じることができる場合、検索機能の確保が不要とされています。

これは、電子取引データを単にフォルダに保存しておくだけでも、税務調査の際にデータをダウンロードして提供できれば良いということです。高度な検索システムを導入する必要がないため、小規模事業者にとっては対応のハードルが下がります。

また、事務処理規程による対応は、システム投資が難しい小規模事業者にとって現実的な選択肢です。国税庁のサンプルを参考に規程を作成し、それに従って適切に運用すれば、大きなコストをかけずに法令要件を満たすことができます。

規模の大小に関わらず、電子取引を行っているすべての事業者は、自社の状況を確認し、適切な対応を行う必要があります。2025年現在、対応の遅れは税務調査での指摘リスクに直結します。


まとめ

まとめ

電子帳簿保存法への対応は、2024年1月からの完全義務化により、もはや選択の余地がない必須の取り組みとなりました。2025年現在、義務化から1年以上が経過し、税務調査での確認も本格化しています。まだ対応できていない企業は、今すぐに取り組みを開始する必要があります。

しかし、2022年の法改正によりタイムスタンプ要件が大幅に緩和され、特に中小企業にとって対応しやすい環境が整っています。タイムスタンプそのものは必須ではなくなり、訂正削除履歴が残るシステムの利用や事務処理規程の整備といった代替手段が認められています。多くの企業にとっては、クラウド型の会計システムを適切に選定・運用することで、追加のコスト負担なく法令要件を満たすことが可能でしょう。

一方で、要件を満たさない場合のリスクは決して軽視できません。青色申告の承認取り消し、重加算税の加算、会社法違反による過料といった深刻な影響が生じる可能性があります。税務調査がいつ実施されるかは予測できないため、早期の対応が不可欠です。

適切な電子帳簿保存法対応は、単なる法令遵守にとどまらず、業務効率化、ペーパーレス化、コスト削減といったメリットももたらします。デジタル化の流れは今後も加速していくでしょう。この機会を、企業の経理業務を見直し、デジタル変革を進める契機として捉えることもできます。

まずは現状把握から始めましょう。自社がどのような電子取引を行っているか、現在のシステムが要件を満たしているか、何を改善すべきかを明確にしてください。そして、段階的な計画を立てて、着実に対応を進めることが重要です。

電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があります。最新の情報を常にキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直していく姿勢が求められます。

参考リンク


【重要な訂正事項】

本記事の作成にあたり、最新の法改正情報を反映しています。特に、検索機能の確保が不要となる売上高基準については、2024年1月1日以降、基準期間の売上高が 5,000万円以下 の事業者に拡大されています(従来は1,000万円以下)。これは令和5年度税制改正によるものです。最新の国税庁公式情報を必ずご確認ください。

中小企業においては、初期コストの低さ、運用の容易さ、法改正への自動対応といったメリットから、クラウド型が推奨されるケースが多いでしょう。一方、大企業や特殊なセキュリティ要件がある業種では、オンプレミス型やプライベートクラウドの選択も検討に値します。

企業が今すぐ確認すべきポイント

企業が今すぐ確認すべきポイン

実務チェックリストで現状を把握する

電子帳簿保存法への対応状況を確認するために、以下のチェックリストを活用してください。2025年現在、完全義務化から1年以上が経過していますが、まだ十分な対応ができていない企業は速やかに改善が必要です。各項目について現状を点検し、対応が不十分な点があれば直ちに改善策を講じることが重要です。

まず、電子取引の実態把握から始めましょう。自社がどのような形で電子取引を行っているかを洗い出します。メールで請求書や領収書を受け取っているか、ECサイトで物品を購入しているか、クラウドサービスを利用しているか、EDI取引を行っているかなど、すべての電子取引をリストアップしてください。この作業を怠ると、一部の電子取引が法令対応から漏れてしまうリスクがあります。

次に、対象データの保存状況を確認します。電子取引で受け取ったデータを、現在どのように保存しているでしょうか。メールの添付ファイルをそのままメールソフト内に残しているだけでは不十分です。また、PDFファイルを印刷して紙で保存しているという対応も、2024年1月以降は原則として認められません。データのまま、適切な保存場所に整理して保存する必要があります。

システムの要件適合性も重要なチェックポイントです。使用している会計システムや文書管理システムが、訂正削除履歴を記録する機能を持っているか確認してください。機能があっても、その機能が有効になっているか、適切に動作しているかも確認が必要です。システムベンダーに問い合わせて、電子帳簿保存法の要件を満たしているかの確認書を取得しておくことも有効です。

検索機能の確保について、取引年月日、取引金額、取引先名で検索できる状態になっているかを確認します。システム上で検索できる場合は問題ありませんが、システムに検索機能がない場合は、Excelなどで索引簿を作成する必要があります。ただし、基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務職員のダウンロード要求に応じられる場合は、検索機能の確保が不要です。

可視性の確保として、ディスプレイ表示と印刷出力が速やかにできるかを確認します。システムへのログインが容易か、データの表示が速いか、印刷が正常にできるかなど、税務調査の際に調査官の要求に即座に対応できる状態になっているかをチェックしてください。

システム関係書類の整備も忘れてはいけません。使用しているシステムのマニュアル、システム仕様書、操作説明書などを整備し、いつでも提示できる状態にしておく必要があります。特に、システムが電子帳簿保存法の要件を満たしていることを説明できる資料は重要です。

事務処理規程の策定は、タイムスタンプや訂正削除履歴機能を使わない場合に必要となります。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。作成しただけで運用していない場合は、要件を満たさないと判断される可能性があります。

従業員教育の実施も重要な対応事項です。電子帳簿保存法の基本的な内容、自社の対応方針、システムの操作方法、事務処理規程の内容などについて、関係する従業員に周知・教育を行ってください。特に、経理部門だけでなく、請求書や領収書を受け取る可能性のあるすべての部門が対象となります。

税務調査時の対応手順も事前に整備しておくべきです。税務調査の際にどのようにデータを提示するか、誰が対応するか、どのシステムを使って説明するかなど、手順を明確にしておくと、実際の調査の際に慌てずに対応できます。2025年以降の税務調査では電子帳簿保存法の確認が標準化されているため、事前準備が不可欠です。

データのバックアップ体制は、長期保存の観点から不可欠です。システム障害やサイバー攻撃、災害などに備えて、定期的なバックアップと、バックアップデータからの復元テストを実施してください。クラウドサービスを使用している場合でも、サービス事業者のバックアップとは別に、自社でもデータをエクスポートして保管しておくことが推奨されます。

事務処理規程の整備方法

タイムスタンプや訂正削除履歴機能を利用しない場合、または補完的な措置として、事務処理規程の整備が必要となります。事務処理規程とは、電子取引データの適正な保存を確保するための社内ルールを文書化したものです。

規程には、最低限以下の内容を含める必要があります。まず、電子取引データの保存に関する基本方針として、電子帳簿保存法を遵守すること、電子取引データの改ざん・削除を防止することなどを明記します。

組織体制と責任者の明確化も重要です。電子取引データの管理責任者、処理責任者、承認者などの役割と権限を明確にし、誰が何に責任を持つかを規定します。小規模企業の場合は、代表者が管理責任者となり、経理担当者が処理責任者となるケースが多いでしょう。

データの授受から保存までの業務フローを詳細に記述します。電子取引データを受領した際の処理手順、保存場所、ファイル名の付け方、フォルダ構成、保存期限などを具体的に定めます。実務に即した内容にすることが重要で、実際には守れないような理想論を書いても意味がありません。

訂正・削除に関するルールは規程の核心部分です。電子取引データの訂正・削除を原則禁止とすること、やむを得ず訂正・削除する場合の承認手続き、訂正・削除の記録方法などを明確に定めます。承認者の明確化、承認の記録方法、事後の確認手続きなども規定してください。

定期的な点検と改善の手順も規程に含めます。定期的(例:半年に1回)にデータの保存状況を点検し、問題があれば改善する仕組みを構築します。点検の実施時期、点検者、点検内容、改善措置の決定方法などを規定してください。

規程を作成したら、関係者に周知し、実際に運用を開始します。規程を作成しただけで実際には運用していない場合、税務調査の際に要件を満たしていないと判断される可能性があります。また、規程の内容と実際の運用に乖離が生じた場合は、実態に合わせて規程を改訂することも必要です。

段階的な導入ステップ

電子帳簿保存法への対応は、一度に完璧を目指すのではなく、段階的に進めることが現実的です。2025年現在、すでに完全義務化されているため、速やかな対応が求められますが、以下の3段階で計画的に取り組むことをお勧めします。

第1段階:現状把握と計画策定(1〜2週間)では、まず自社の電子取引の範囲を特定します。どのような取引が電子的に行われているか、どのようなデータを保存する必要があるか、月間・年間でどの程度のデータ量になるかを把握します。

次に、既存システムの機能を確認します。現在使用している会計システムや文書管理システムが、電子帳簿保存法の要件を満たしているか、訂正削除履歴機能があるか、検索機能は十分かなどを詳細にチェックします。

これらの情報を基に、自社の対応方針を決定します。既存システムで対応可能か、新しいシステムの導入が必要か、タイムスタンプサービスを利用するか、事務処理規程で対応するかなど、複数の選択肢を検討し、自社に最も適した方法を選択します。

そして、具体的な実施計画を策定します。システム導入が必要な場合はそのスケジュール、事務処理規程の作成スケジュール、従業員教育の計画、予算などを明確にします。

第2段階:システム整備と規程策定(2〜4週間)では、決定した方針に基づいて実際の準備を進めます。新しいシステムを導入する場合は、選定、契約、設定、テストを行います。既存システムを活用する場合は、必要な設定変更や機能の有効化を行います。

事務処理規程を策定する場合は、国税庁のサンプルを参考にしながら自社の実情に合わせた規程を作成し、関係者の承認を得ます。

本格運用前に、小規模なテスト運用を実施することをお勧めします。一部の部門や一部の取引について先行して新しい運用を始め、問題点を洗い出します。データの保存、検索、表示、印刷などが想定通りに機能するか、業務フローに無理がないかを確認します。

第3段階:本格運用と改善(継続)では、まず従業員研修を実施します。電子帳簿保存法の基本知識、自社の対応方針、システムの操作方法、事務処理規程の内容などについて、関係者全員に教育を行います。単に知識を伝えるだけでなく、実際の操作を体験させるハンズオン研修が効果的です。

本格運用を開始したら、運用状況を継続的に監視します。データが適切に保存されているか、規程が守られているか、システムが正常に動作しているかなどを定期的にチェックします。

問題点が見つかった場合は、速やかに改善します。システムの設定変更、業務フローの見直し、規程の改訂、追加研修の実施など、必要な措置を講じます。

法令の改正にも注意を払う必要があります。電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があり、改正内容を速やかにキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直します。

よくある質問と回答

よくある質問と回答

Q1: タイムスタンプは完全に不要になったのか?

A: タイムスタンプが完全に不要になったわけではありません。正確には、「一定の条件を満たせば不要」というのが現状です。

訂正削除履歴が残るシステムを利用している場合、訂正削除が技術的にできないシステムを使用している場合、または事務処理規程を整備して運用している場合は、タイムスタンプの付与が不要となります。また、取引相手から既にタイムスタンプが付与されたデータを受領した場合も、受領者側での付与は不要です。

一方、これらの条件を満たさない場合は、従来通りタイムスタンプの付与が必要です。ただし、付与期限は「最長約2か月と概ね7営業日以内」に延長されており、従来の「3営業日以内」よりは対応しやすくなっています。

2025年現在、多くの企業はクラウド型の会計システムなど訂正削除履歴が残るシステムを利用することで、タイムスタンプサービスとの契約なしに法令要件を満たしています。自社の状況に応じて、最も適切な方法を選択することが重要です。

Q2: 既存のソフトが対応していない場合はどうすればよいか?

A: 既存のソフトウェアが電子帳簿保存法に対応していない場合、まずソフトウェアベンダーに対応状況を確認することから始めましょう。

多くのベンダーは、法改正に対応したアップデートを提供しています。アップデートが予定されている場合は、そのスケジュールを確認し、リリース後速やかに適用してください。無償アップデートか有償アップデートかも確認が必要です。

ベンダーが対応予定がない、または対応が大幅に遅れる場合は、以下の選択肢を検討します。

第一の選択肢は、対応済みソフトへの乗り換えです。現在では多くのクラウド型会計システムが電子帳簿保存法に対応しており、比較的低コストで導入できます。ただし、データ移行の手間、操作方法の習得、既存の業務フローの変更などが必要となるため、十分な準備期間を確保してください。

第二の選択肢は、電子帳簿保存法対応の専用ソフトを追加導入することです。既存の会計システムはそのまま使い続け、電子取引データの保存と管理だけを専用ソフトで行うという方法です。二重管理の手間は増えますが、既存システムへの影響を最小限に抑えられます。

第三の選択肢は、事務処理規程による対応です。システム要件を満たさない場合でも、適切な事務処理規程を整備し、それに従って運用することで法令要件を満たすことができます。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。

2025年現在、すでに完全義務化されているため、対応が遅れている企業は税務調査でのリスクが高まっています。早急な対応が必要です。

Q3: 2025年現在、違反するとすぐに罰則があるのか?

A: 2024年1月から完全義務化され、2025年現在すでに1年以上が経過しています。違反が発覚するのは主に税務調査の際であり、調査のタイミングは企業によって異なりますが、税務当局は電子帳簿保存法の確認を重点項目としています。

税務調査は通常、数年に一度のペースで実施されます。中小企業の場合、5年から10年に一度という場合もあります。したがって、対応が不十分であっても、すぐに問題が表面化するわけではありません。

しかし、2025年現在、税務調査での指摘事例が実際に報告されるようになってきており、対応を先延ばしにすることは極めて危険です。税務調査がいつ実施されるかは予測できませんし、調査が入った際に違反が判明すれば、その時点から遡って問題を指摘される可能性があります。

違反が発覚した場合の影響は深刻です。青色申告の承認取り消しのリスク、重加算税10%の加算(改ざん等の悪質なケースの場合)、会社法違反による過料(最大100万円)などの可能性があります。

また、「やむを得ない事情」がある場合の個別判断という救済措置も存在しますが、これは一時的・例外的な措置であり、恒久的な対策ではありません。システム障害や災害など、客観的にやむを得ない状況であると税務署長が認めた場合に限られます。単に「対応が間に合わなかった」「知らなかった」という理由は、特に2025年の時点では、やむを得ない事情として認められる可能性はほぼないでしょう。

まだ対応できていない企業は、今すぐに対応を開始することが最もリスクが低く、長期的にはコストも抑えられる選択です。

Q4: 小規模事業者も対象なのか?

A: 電子帳簿保存法における電子取引データの保存義務は、事業規模に関係なく、電子取引を行うすべての事業者が対象となります。個人事業主、中小企業、大企業を問わず、メールで請求書を受け取る、ECサイトで物品を購入するなど、何らかの形で電子取引を行っている限り、法令の対象となります。

「うちは小さな会社だから関係ない」という認識は誤りです。むしろ、規模の小さい事業者ほど、メール添付のPDF請求書を印刷して保存しているだけ、といった不適切な対応をしているケースが多く、税務調査で指摘されるリスクが高いと言えます。

ただし、小規模事業者に対する一定の配慮措置も設けられています。令和5年度税制改正により、基準期間(原則2年前)の売上高が5,000万円以下の事業者については、税務職員のダウンロード要求に応じることができる場合、検索機能の確保が不要とされています。

これは、電子取引データを単にフォルダに保存しておくだけでも、税務調査の際にデータをダウンロードして提供できれば良いということです。高度な検索システムを導入する必要がないため、小規模事業者にとっては対応のハードルが下がります。

また、事務処理規程による対応は、システム投資が難しい小規模事業者にとって現実的な選択肢です。国税庁のサンプルを参考に規程を作成し、それに従って適切に運用すれば、大きなコストをかけずに法令要件を満たすことができます。

規模の大小に関わらず、電子取引を行っているすべての事業者は、自社の状況を確認し、適切な対応を行う必要があります。2025年現在、対応の遅れは税務調査での指摘リスクに直結します。


まとめ

まとめ

電子帳簿保存法への対応は、2024年1月からの完全義務化により、もはや選択の余地がない必須の取り組みとなりました。2025年現在、義務化から1年以上が経過し、税務調査での確認も本格化しています。まだ対応できていない企業は、今すぐに取り組みを開始する必要があります。

しかし、2022年の法改正によりタイムスタンプ要件が大幅に緩和され、特に中小企業にとって対応しやすい環境が整っています。タイムスタンプそのものは必須ではなくなり、訂正削除履歴が残るシステムの利用や事務処理規程の整備といった代替手段が認められています。多くの企業にとっては、クラウド型の会計システムを適切に選定・運用することで、追加のコスト負担なく法令要件を満たすことが可能でしょう。

一方で、要件を満たさない場合のリスクは決して軽視できません。青色申告の承認取り消し、重加算税の加算、会社法違反による過料といった深刻な影響が生じる可能性があります。税務調査がいつ実施されるかは予測できないため、早期の対応が不可欠です。

適切な電子帳簿保存法対応は、単なる法令遵守にとどまらず、業務効率化、ペーパーレス化、コスト削減といったメリットももたらします。デジタル化の流れは今後も加速していくでしょう。この機会を、企業の経理業務を見直し、デジタル変革を進める契機として捉えることもできます。

まずは現状把握から始めましょう。自社がどのような電子取引を行っているか、現在のシステムが要件を満たしているか、何を改善すべきかを明確にしてください。そして、段階的な計画を立てて、着実に対応を進めることが重要です。

電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があります。最新の情報を常にキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直していく姿勢が求められます。

参考リンク


【重要な訂正事項】

本記事の作成にあたり、最新の法改正情報を反映しています。特に、検索機能の確保が不要となる売上高基準については、2024年1月1日以降、基準期間の売上高が 5,000万円以下 の事業者に拡大されています(従来は1,000万円以下)。これは令和5年度税制改正によるものです。最新の国税庁公式情報を必ずご確認ください。

電子帳簿保存法に対応するシステムを選ぶ際、クラウド型とオンプレミス型のどちらを選択するかは重要な判断ポイントです。それぞれにメリットとデメリットがあり、企業の規模、業態、セキュリティポリシー、IT投資予算などに応じて適切な選択が異なります。

クラウド型システムのメリットとして、まず初期投資の低さが挙げられます。サーバーやネットワーク機器の購入が不要で、月額利用料のみで導入できるため、中小企業でも手軽に始められます。また、システムの運用管理がサービス事業者側で行われるため、自社でのIT人材が限られている場合でも安心です。

法改正への対応も自動的に行われる点は大きなメリットです。電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があり、その都度システムを更新する必要がありますが、クラウドサービスであれば事業者側で対応してくれます。さらに、場所を問わずアクセスできるため、テレワークや複数拠点での利用にも適しています。

一方、クラウド型のデメリットとして、月額料金が継続的に発生することや、インターネット接続が必須であること、サービス事業者のセキュリティポリシーに依存することなどが挙げられます。特に、機密性の高い財務情報を外部のサーバーに保存することに抵抗がある企業もあるでしょう。また、2025年現在、一部のクラウドサービスでサービス終了やプラン変更が発生しており、長期的な安定性についても慎重な検討が必要です。

オンプレミス型システムのメリットは、自社の完全なコントロール下でシステムを運用できることです。セキュリティポリシーを自社の基準で設定でき、データも自社のサーバー内に保管されます。また、インターネット接続が不安定な環境でも安定して利用できます。カスタマイズの自由度が高く、既存の基幹システムとの連携もしやすい場合があります。

オンプレミス型のデメリットとして、初期投資が高額になること、システムの運用管理に専門知識が必要なこと、法改正への対応を個別に行う必要があることなどがあります。また、長期保存の観点では、ハードウェアの更新やソフトウェアのサポート終了への対応を自社で計画的に行う必要があります。

中小企業においては、初期コストの低さ、運用の容易さ、法改正への自動対応といったメリットから、クラウド型が推奨されるケースが多いでしょう。一方、大企業や特殊なセキュリティ要件がある業種では、オンプレミス型やプライベートクラウドの選択も検討に値します。

企業が今すぐ確認すべきポイント

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実務チェックリストで現状を把握する

電子帳簿保存法への対応状況を確認するために、以下のチェックリストを活用してください。2025年現在、完全義務化から1年以上が経過していますが、まだ十分な対応ができていない企業は速やかに改善が必要です。各項目について現状を点検し、対応が不十分な点があれば直ちに改善策を講じることが重要です。

まず、電子取引の実態把握から始めましょう。自社がどのような形で電子取引を行っているかを洗い出します。メールで請求書や領収書を受け取っているか、ECサイトで物品を購入しているか、クラウドサービスを利用しているか、EDI取引を行っているかなど、すべての電子取引をリストアップしてください。この作業を怠ると、一部の電子取引が法令対応から漏れてしまうリスクがあります。

次に、対象データの保存状況を確認します。電子取引で受け取ったデータを、現在どのように保存しているでしょうか。メールの添付ファイルをそのままメールソフト内に残しているだけでは不十分です。また、PDFファイルを印刷して紙で保存しているという対応も、2024年1月以降は原則として認められません。データのまま、適切な保存場所に整理して保存する必要があります。

システムの要件適合性も重要なチェックポイントです。使用している会計システムや文書管理システムが、訂正削除履歴を記録する機能を持っているか確認してください。機能があっても、その機能が有効になっているか、適切に動作しているかも確認が必要です。システムベンダーに問い合わせて、電子帳簿保存法の要件を満たしているかの確認書を取得しておくことも有効です。

検索機能の確保について、取引年月日、取引金額、取引先名で検索できる状態になっているかを確認します。システム上で検索できる場合は問題ありませんが、システムに検索機能がない場合は、Excelなどで索引簿を作成する必要があります。ただし、基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務職員のダウンロード要求に応じられる場合は、検索機能の確保が不要です。

可視性の確保として、ディスプレイ表示と印刷出力が速やかにできるかを確認します。システムへのログインが容易か、データの表示が速いか、印刷が正常にできるかなど、税務調査の際に調査官の要求に即座に対応できる状態になっているかをチェックしてください。

システム関係書類の整備も忘れてはいけません。使用しているシステムのマニュアル、システム仕様書、操作説明書などを整備し、いつでも提示できる状態にしておく必要があります。特に、システムが電子帳簿保存法の要件を満たしていることを説明できる資料は重要です。

事務処理規程の策定は、タイムスタンプや訂正削除履歴機能を使わない場合に必要となります。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。作成しただけで運用していない場合は、要件を満たさないと判断される可能性があります。

従業員教育の実施も重要な対応事項です。電子帳簿保存法の基本的な内容、自社の対応方針、システムの操作方法、事務処理規程の内容などについて、関係する従業員に周知・教育を行ってください。特に、経理部門だけでなく、請求書や領収書を受け取る可能性のあるすべての部門が対象となります。

税務調査時の対応手順も事前に整備しておくべきです。税務調査の際にどのようにデータを提示するか、誰が対応するか、どのシステムを使って説明するかなど、手順を明確にしておくと、実際の調査の際に慌てずに対応できます。2025年以降の税務調査では電子帳簿保存法の確認が標準化されているため、事前準備が不可欠です。

データのバックアップ体制は、長期保存の観点から不可欠です。システム障害やサイバー攻撃、災害などに備えて、定期的なバックアップと、バックアップデータからの復元テストを実施してください。クラウドサービスを使用している場合でも、サービス事業者のバックアップとは別に、自社でもデータをエクスポートして保管しておくことが推奨されます。

事務処理規程の整備方法

タイムスタンプや訂正削除履歴機能を利用しない場合、または補完的な措置として、事務処理規程の整備が必要となります。事務処理規程とは、電子取引データの適正な保存を確保するための社内ルールを文書化したものです。

規程には、最低限以下の内容を含める必要があります。まず、電子取引データの保存に関する基本方針として、電子帳簿保存法を遵守すること、電子取引データの改ざん・削除を防止することなどを明記します。

組織体制と責任者の明確化も重要です。電子取引データの管理責任者、処理責任者、承認者などの役割と権限を明確にし、誰が何に責任を持つかを規定します。小規模企業の場合は、代表者が管理責任者となり、経理担当者が処理責任者となるケースが多いでしょう。

データの授受から保存までの業務フローを詳細に記述します。電子取引データを受領した際の処理手順、保存場所、ファイル名の付け方、フォルダ構成、保存期限などを具体的に定めます。実務に即した内容にすることが重要で、実際には守れないような理想論を書いても意味がありません。

訂正・削除に関するルールは規程の核心部分です。電子取引データの訂正・削除を原則禁止とすること、やむを得ず訂正・削除する場合の承認手続き、訂正・削除の記録方法などを明確に定めます。承認者の明確化、承認の記録方法、事後の確認手続きなども規定してください。

定期的な点検と改善の手順も規程に含めます。定期的(例:半年に1回)にデータの保存状況を点検し、問題があれば改善する仕組みを構築します。点検の実施時期、点検者、点検内容、改善措置の決定方法などを規定してください。

規程を作成したら、関係者に周知し、実際に運用を開始します。規程を作成しただけで実際には運用していない場合、税務調査の際に要件を満たしていないと判断される可能性があります。また、規程の内容と実際の運用に乖離が生じた場合は、実態に合わせて規程を改訂することも必要です。

段階的な導入ステップ

電子帳簿保存法への対応は、一度に完璧を目指すのではなく、段階的に進めることが現実的です。2025年現在、すでに完全義務化されているため、速やかな対応が求められますが、以下の3段階で計画的に取り組むことをお勧めします。

第1段階:現状把握と計画策定(1〜2週間)では、まず自社の電子取引の範囲を特定します。どのような取引が電子的に行われているか、どのようなデータを保存する必要があるか、月間・年間でどの程度のデータ量になるかを把握します。

次に、既存システムの機能を確認します。現在使用している会計システムや文書管理システムが、電子帳簿保存法の要件を満たしているか、訂正削除履歴機能があるか、検索機能は十分かなどを詳細にチェックします。

これらの情報を基に、自社の対応方針を決定します。既存システムで対応可能か、新しいシステムの導入が必要か、タイムスタンプサービスを利用するか、事務処理規程で対応するかなど、複数の選択肢を検討し、自社に最も適した方法を選択します。

そして、具体的な実施計画を策定します。システム導入が必要な場合はそのスケジュール、事務処理規程の作成スケジュール、従業員教育の計画、予算などを明確にします。

第2段階:システム整備と規程策定(2〜4週間)では、決定した方針に基づいて実際の準備を進めます。新しいシステムを導入する場合は、選定、契約、設定、テストを行います。既存システムを活用する場合は、必要な設定変更や機能の有効化を行います。

事務処理規程を策定する場合は、国税庁のサンプルを参考にしながら自社の実情に合わせた規程を作成し、関係者の承認を得ます。

本格運用前に、小規模なテスト運用を実施することをお勧めします。一部の部門や一部の取引について先行して新しい運用を始め、問題点を洗い出します。データの保存、検索、表示、印刷などが想定通りに機能するか、業務フローに無理がないかを確認します。

第3段階:本格運用と改善(継続)では、まず従業員研修を実施します。電子帳簿保存法の基本知識、自社の対応方針、システムの操作方法、事務処理規程の内容などについて、関係者全員に教育を行います。単に知識を伝えるだけでなく、実際の操作を体験させるハンズオン研修が効果的です。

本格運用を開始したら、運用状況を継続的に監視します。データが適切に保存されているか、規程が守られているか、システムが正常に動作しているかなどを定期的にチェックします。

問題点が見つかった場合は、速やかに改善します。システムの設定変更、業務フローの見直し、規程の改訂、追加研修の実施など、必要な措置を講じます。

法令の改正にも注意を払う必要があります。電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があり、改正内容を速やかにキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直します。

よくある質問と回答

よくある質問と回答

Q1: タイムスタンプは完全に不要になったのか?

A: タイムスタンプが完全に不要になったわけではありません。正確には、「一定の条件を満たせば不要」というのが現状です。

訂正削除履歴が残るシステムを利用している場合、訂正削除が技術的にできないシステムを使用している場合、または事務処理規程を整備して運用している場合は、タイムスタンプの付与が不要となります。また、取引相手から既にタイムスタンプが付与されたデータを受領した場合も、受領者側での付与は不要です。

一方、これらの条件を満たさない場合は、従来通りタイムスタンプの付与が必要です。ただし、付与期限は「最長約2か月と概ね7営業日以内」に延長されており、従来の「3営業日以内」よりは対応しやすくなっています。

2025年現在、多くの企業はクラウド型の会計システムなど訂正削除履歴が残るシステムを利用することで、タイムスタンプサービスとの契約なしに法令要件を満たしています。自社の状況に応じて、最も適切な方法を選択することが重要です。

Q2: 既存のソフトが対応していない場合はどうすればよいか?

A: 既存のソフトウェアが電子帳簿保存法に対応していない場合、まずソフトウェアベンダーに対応状況を確認することから始めましょう。

多くのベンダーは、法改正に対応したアップデートを提供しています。アップデートが予定されている場合は、そのスケジュールを確認し、リリース後速やかに適用してください。無償アップデートか有償アップデートかも確認が必要です。

ベンダーが対応予定がない、または対応が大幅に遅れる場合は、以下の選択肢を検討します。

第一の選択肢は、対応済みソフトへの乗り換えです。現在では多くのクラウド型会計システムが電子帳簿保存法に対応しており、比較的低コストで導入できます。ただし、データ移行の手間、操作方法の習得、既存の業務フローの変更などが必要となるため、十分な準備期間を確保してください。

第二の選択肢は、電子帳簿保存法対応の専用ソフトを追加導入することです。既存の会計システムはそのまま使い続け、電子取引データの保存と管理だけを専用ソフトで行うという方法です。二重管理の手間は増えますが、既存システムへの影響を最小限に抑えられます。

第三の選択肢は、事務処理規程による対応です。システム要件を満たさない場合でも、適切な事務処理規程を整備し、それに従って運用することで法令要件を満たすことができます。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。

2025年現在、すでに完全義務化されているため、対応が遅れている企業は税務調査でのリスクが高まっています。早急な対応が必要です。

Q3: 2025年現在、違反するとすぐに罰則があるのか?

A: 2024年1月から完全義務化され、2025年現在すでに1年以上が経過しています。違反が発覚するのは主に税務調査の際であり、調査のタイミングは企業によって異なりますが、税務当局は電子帳簿保存法の確認を重点項目としています。

税務調査は通常、数年に一度のペースで実施されます。中小企業の場合、5年から10年に一度という場合もあります。したがって、対応が不十分であっても、すぐに問題が表面化するわけではありません。

しかし、2025年現在、税務調査での指摘事例が実際に報告されるようになってきており、対応を先延ばしにすることは極めて危険です。税務調査がいつ実施されるかは予測できませんし、調査が入った際に違反が判明すれば、その時点から遡って問題を指摘される可能性があります。

違反が発覚した場合の影響は深刻です。青色申告の承認取り消しのリスク、重加算税10%の加算(改ざん等の悪質なケースの場合)、会社法違反による過料(最大100万円)などの可能性があります。

また、「やむを得ない事情」がある場合の個別判断という救済措置も存在しますが、これは一時的・例外的な措置であり、恒久的な対策ではありません。システム障害や災害など、客観的にやむを得ない状況であると税務署長が認めた場合に限られます。単に「対応が間に合わなかった」「知らなかった」という理由は、特に2025年の時点では、やむを得ない事情として認められる可能性はほぼないでしょう。

まだ対応できていない企業は、今すぐに対応を開始することが最もリスクが低く、長期的にはコストも抑えられる選択です。

Q4: 小規模事業者も対象なのか?

A: 電子帳簿保存法における電子取引データの保存義務は、事業規模に関係なく、電子取引を行うすべての事業者が対象となります。個人事業主、中小企業、大企業を問わず、メールで請求書を受け取る、ECサイトで物品を購入するなど、何らかの形で電子取引を行っている限り、法令の対象となります。

「うちは小さな会社だから関係ない」という認識は誤りです。むしろ、規模の小さい事業者ほど、メール添付のPDF請求書を印刷して保存しているだけ、といった不適切な対応をしているケースが多く、税務調査で指摘されるリスクが高いと言えます。

ただし、小規模事業者に対する一定の配慮措置も設けられています。令和5年度税制改正により、基準期間(原則2年前)の売上高が5,000万円以下の事業者については、税務職員のダウンロード要求に応じることができる場合、検索機能の確保が不要とされています。

これは、電子取引データを単にフォルダに保存しておくだけでも、税務調査の際にデータをダウンロードして提供できれば良いということです。高度な検索システムを導入する必要がないため、小規模事業者にとっては対応のハードルが下がります。

また、事務処理規程による対応は、システム投資が難しい小規模事業者にとって現実的な選択肢です。国税庁のサンプルを参考に規程を作成し、それに従って適切に運用すれば、大きなコストをかけずに法令要件を満たすことができます。

規模の大小に関わらず、電子取引を行っているすべての事業者は、自社の状況を確認し、適切な対応を行う必要があります。2025年現在、対応の遅れは税務調査での指摘リスクに直結します。


まとめ

まとめ

電子帳簿保存法への対応は、2024年1月からの完全義務化により、もはや選択の余地がない必須の取り組みとなりました。2025年現在、義務化から1年以上が経過し、税務調査での確認も本格化しています。まだ対応できていない企業は、今すぐに取り組みを開始する必要があります。

しかし、2022年の法改正によりタイムスタンプ要件が大幅に緩和され、特に中小企業にとって対応しやすい環境が整っています。タイムスタンプそのものは必須ではなくなり、訂正削除履歴が残るシステムの利用や事務処理規程の整備といった代替手段が認められています。多くの企業にとっては、クラウド型の会計システムを適切に選定・運用することで、追加のコスト負担なく法令要件を満たすことが可能でしょう。

一方で、要件を満たさない場合のリスクは決して軽視できません。青色申告の承認取り消し、重加算税の加算、会社法違反による過料といった深刻な影響が生じる可能性があります。税務調査がいつ実施されるかは予測できないため、早期の対応が不可欠です。

適切な電子帳簿保存法対応は、単なる法令遵守にとどまらず、業務効率化、ペーパーレス化、コスト削減といったメリットももたらします。デジタル化の流れは今後も加速していくでしょう。この機会を、企業の経理業務を見直し、デジタル変革を進める契機として捉えることもできます。

まずは現状把握から始めましょう。自社がどのような電子取引を行っているか、現在のシステムが要件を満たしているか、何を改善すべきかを明確にしてください。そして、段階的な計画を立てて、着実に対応を進めることが重要です。

電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があります。最新の情報を常にキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直していく姿勢が求められます。

参考リンク


【重要な訂正事項】

本記事の作成にあたり、最新の法改正情報を反映しています。特に、検索機能の確保が不要となる売上高基準については、2024年1月1日以降、基準期間の売上高が 5,000万円以下 の事業者に拡大されています(従来は1,000万円以下)。これは令和5年度税制改正によるものです。最新の国税庁公式情報を必ずご確認ください。

訂正削除ができないシステムを選択する場合は、業務フローとの整合性を慎重に検討する必要があります。一度保存したデータを修正できないということは、入力ミスがあった場合に訂正できないことを意味します。そのため、データ入力前の確認プロセスを厳格化する、または取消・再入力という形で対応できる業務フローを構築するといった対策が必要となります。

クラウド型vs.オンプレミス型の選択

電子帳簿保存法に対応するシステムを選ぶ際、クラウド型とオンプレミス型のどちらを選択するかは重要な判断ポイントです。それぞれにメリットとデメリットがあり、企業の規模、業態、セキュリティポリシー、IT投資予算などに応じて適切な選択が異なります。

クラウド型システムのメリットとして、まず初期投資の低さが挙げられます。サーバーやネットワーク機器の購入が不要で、月額利用料のみで導入できるため、中小企業でも手軽に始められます。また、システムの運用管理がサービス事業者側で行われるため、自社でのIT人材が限られている場合でも安心です。

法改正への対応も自動的に行われる点は大きなメリットです。電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があり、その都度システムを更新する必要がありますが、クラウドサービスであれば事業者側で対応してくれます。さらに、場所を問わずアクセスできるため、テレワークや複数拠点での利用にも適しています。

一方、クラウド型のデメリットとして、月額料金が継続的に発生することや、インターネット接続が必須であること、サービス事業者のセキュリティポリシーに依存することなどが挙げられます。特に、機密性の高い財務情報を外部のサーバーに保存することに抵抗がある企業もあるでしょう。また、2025年現在、一部のクラウドサービスでサービス終了やプラン変更が発生しており、長期的な安定性についても慎重な検討が必要です。

オンプレミス型システムのメリットは、自社の完全なコントロール下でシステムを運用できることです。セキュリティポリシーを自社の基準で設定でき、データも自社のサーバー内に保管されます。また、インターネット接続が不安定な環境でも安定して利用できます。カスタマイズの自由度が高く、既存の基幹システムとの連携もしやすい場合があります。

オンプレミス型のデメリットとして、初期投資が高額になること、システムの運用管理に専門知識が必要なこと、法改正への対応を個別に行う必要があることなどがあります。また、長期保存の観点では、ハードウェアの更新やソフトウェアのサポート終了への対応を自社で計画的に行う必要があります。

中小企業においては、初期コストの低さ、運用の容易さ、法改正への自動対応といったメリットから、クラウド型が推奨されるケースが多いでしょう。一方、大企業や特殊なセキュリティ要件がある業種では、オンプレミス型やプライベートクラウドの選択も検討に値します。

企業が今すぐ確認すべきポイント

企業が今すぐ確認すべきポイン

実務チェックリストで現状を把握する

電子帳簿保存法への対応状況を確認するために、以下のチェックリストを活用してください。2025年現在、完全義務化から1年以上が経過していますが、まだ十分な対応ができていない企業は速やかに改善が必要です。各項目について現状を点検し、対応が不十分な点があれば直ちに改善策を講じることが重要です。

まず、電子取引の実態把握から始めましょう。自社がどのような形で電子取引を行っているかを洗い出します。メールで請求書や領収書を受け取っているか、ECサイトで物品を購入しているか、クラウドサービスを利用しているか、EDI取引を行っているかなど、すべての電子取引をリストアップしてください。この作業を怠ると、一部の電子取引が法令対応から漏れてしまうリスクがあります。

次に、対象データの保存状況を確認します。電子取引で受け取ったデータを、現在どのように保存しているでしょうか。メールの添付ファイルをそのままメールソフト内に残しているだけでは不十分です。また、PDFファイルを印刷して紙で保存しているという対応も、2024年1月以降は原則として認められません。データのまま、適切な保存場所に整理して保存する必要があります。

システムの要件適合性も重要なチェックポイントです。使用している会計システムや文書管理システムが、訂正削除履歴を記録する機能を持っているか確認してください。機能があっても、その機能が有効になっているか、適切に動作しているかも確認が必要です。システムベンダーに問い合わせて、電子帳簿保存法の要件を満たしているかの確認書を取得しておくことも有効です。

検索機能の確保について、取引年月日、取引金額、取引先名で検索できる状態になっているかを確認します。システム上で検索できる場合は問題ありませんが、システムに検索機能がない場合は、Excelなどで索引簿を作成する必要があります。ただし、基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務職員のダウンロード要求に応じられる場合は、検索機能の確保が不要です。

可視性の確保として、ディスプレイ表示と印刷出力が速やかにできるかを確認します。システムへのログインが容易か、データの表示が速いか、印刷が正常にできるかなど、税務調査の際に調査官の要求に即座に対応できる状態になっているかをチェックしてください。

システム関係書類の整備も忘れてはいけません。使用しているシステムのマニュアル、システム仕様書、操作説明書などを整備し、いつでも提示できる状態にしておく必要があります。特に、システムが電子帳簿保存法の要件を満たしていることを説明できる資料は重要です。

事務処理規程の策定は、タイムスタンプや訂正削除履歴機能を使わない場合に必要となります。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。作成しただけで運用していない場合は、要件を満たさないと判断される可能性があります。

従業員教育の実施も重要な対応事項です。電子帳簿保存法の基本的な内容、自社の対応方針、システムの操作方法、事務処理規程の内容などについて、関係する従業員に周知・教育を行ってください。特に、経理部門だけでなく、請求書や領収書を受け取る可能性のあるすべての部門が対象となります。

税務調査時の対応手順も事前に整備しておくべきです。税務調査の際にどのようにデータを提示するか、誰が対応するか、どのシステムを使って説明するかなど、手順を明確にしておくと、実際の調査の際に慌てずに対応できます。2025年以降の税務調査では電子帳簿保存法の確認が標準化されているため、事前準備が不可欠です。

データのバックアップ体制は、長期保存の観点から不可欠です。システム障害やサイバー攻撃、災害などに備えて、定期的なバックアップと、バックアップデータからの復元テストを実施してください。クラウドサービスを使用している場合でも、サービス事業者のバックアップとは別に、自社でもデータをエクスポートして保管しておくことが推奨されます。

事務処理規程の整備方法

タイムスタンプや訂正削除履歴機能を利用しない場合、または補完的な措置として、事務処理規程の整備が必要となります。事務処理規程とは、電子取引データの適正な保存を確保するための社内ルールを文書化したものです。

規程には、最低限以下の内容を含める必要があります。まず、電子取引データの保存に関する基本方針として、電子帳簿保存法を遵守すること、電子取引データの改ざん・削除を防止することなどを明記します。

組織体制と責任者の明確化も重要です。電子取引データの管理責任者、処理責任者、承認者などの役割と権限を明確にし、誰が何に責任を持つかを規定します。小規模企業の場合は、代表者が管理責任者となり、経理担当者が処理責任者となるケースが多いでしょう。

データの授受から保存までの業務フローを詳細に記述します。電子取引データを受領した際の処理手順、保存場所、ファイル名の付け方、フォルダ構成、保存期限などを具体的に定めます。実務に即した内容にすることが重要で、実際には守れないような理想論を書いても意味がありません。

訂正・削除に関するルールは規程の核心部分です。電子取引データの訂正・削除を原則禁止とすること、やむを得ず訂正・削除する場合の承認手続き、訂正・削除の記録方法などを明確に定めます。承認者の明確化、承認の記録方法、事後の確認手続きなども規定してください。

定期的な点検と改善の手順も規程に含めます。定期的(例:半年に1回)にデータの保存状況を点検し、問題があれば改善する仕組みを構築します。点検の実施時期、点検者、点検内容、改善措置の決定方法などを規定してください。

規程を作成したら、関係者に周知し、実際に運用を開始します。規程を作成しただけで実際には運用していない場合、税務調査の際に要件を満たしていないと判断される可能性があります。また、規程の内容と実際の運用に乖離が生じた場合は、実態に合わせて規程を改訂することも必要です。

段階的な導入ステップ

電子帳簿保存法への対応は、一度に完璧を目指すのではなく、段階的に進めることが現実的です。2025年現在、すでに完全義務化されているため、速やかな対応が求められますが、以下の3段階で計画的に取り組むことをお勧めします。

第1段階:現状把握と計画策定(1〜2週間)では、まず自社の電子取引の範囲を特定します。どのような取引が電子的に行われているか、どのようなデータを保存する必要があるか、月間・年間でどの程度のデータ量になるかを把握します。

次に、既存システムの機能を確認します。現在使用している会計システムや文書管理システムが、電子帳簿保存法の要件を満たしているか、訂正削除履歴機能があるか、検索機能は十分かなどを詳細にチェックします。

これらの情報を基に、自社の対応方針を決定します。既存システムで対応可能か、新しいシステムの導入が必要か、タイムスタンプサービスを利用するか、事務処理規程で対応するかなど、複数の選択肢を検討し、自社に最も適した方法を選択します。

そして、具体的な実施計画を策定します。システム導入が必要な場合はそのスケジュール、事務処理規程の作成スケジュール、従業員教育の計画、予算などを明確にします。

第2段階:システム整備と規程策定(2〜4週間)では、決定した方針に基づいて実際の準備を進めます。新しいシステムを導入する場合は、選定、契約、設定、テストを行います。既存システムを活用する場合は、必要な設定変更や機能の有効化を行います。

事務処理規程を策定する場合は、国税庁のサンプルを参考にしながら自社の実情に合わせた規程を作成し、関係者の承認を得ます。

本格運用前に、小規模なテスト運用を実施することをお勧めします。一部の部門や一部の取引について先行して新しい運用を始め、問題点を洗い出します。データの保存、検索、表示、印刷などが想定通りに機能するか、業務フローに無理がないかを確認します。

第3段階:本格運用と改善(継続)では、まず従業員研修を実施します。電子帳簿保存法の基本知識、自社の対応方針、システムの操作方法、事務処理規程の内容などについて、関係者全員に教育を行います。単に知識を伝えるだけでなく、実際の操作を体験させるハンズオン研修が効果的です。

本格運用を開始したら、運用状況を継続的に監視します。データが適切に保存されているか、規程が守られているか、システムが正常に動作しているかなどを定期的にチェックします。

問題点が見つかった場合は、速やかに改善します。システムの設定変更、業務フローの見直し、規程の改訂、追加研修の実施など、必要な措置を講じます。

法令の改正にも注意を払う必要があります。電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があり、改正内容を速やかにキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直します。

よくある質問と回答

よくある質問と回答

Q1: タイムスタンプは完全に不要になったのか?

A: タイムスタンプが完全に不要になったわけではありません。正確には、「一定の条件を満たせば不要」というのが現状です。

訂正削除履歴が残るシステムを利用している場合、訂正削除が技術的にできないシステムを使用している場合、または事務処理規程を整備して運用している場合は、タイムスタンプの付与が不要となります。また、取引相手から既にタイムスタンプが付与されたデータを受領した場合も、受領者側での付与は不要です。

一方、これらの条件を満たさない場合は、従来通りタイムスタンプの付与が必要です。ただし、付与期限は「最長約2か月と概ね7営業日以内」に延長されており、従来の「3営業日以内」よりは対応しやすくなっています。

2025年現在、多くの企業はクラウド型の会計システムなど訂正削除履歴が残るシステムを利用することで、タイムスタンプサービスとの契約なしに法令要件を満たしています。自社の状況に応じて、最も適切な方法を選択することが重要です。

Q2: 既存のソフトが対応していない場合はどうすればよいか?

A: 既存のソフトウェアが電子帳簿保存法に対応していない場合、まずソフトウェアベンダーに対応状況を確認することから始めましょう。

多くのベンダーは、法改正に対応したアップデートを提供しています。アップデートが予定されている場合は、そのスケジュールを確認し、リリース後速やかに適用してください。無償アップデートか有償アップデートかも確認が必要です。

ベンダーが対応予定がない、または対応が大幅に遅れる場合は、以下の選択肢を検討します。

第一の選択肢は、対応済みソフトへの乗り換えです。現在では多くのクラウド型会計システムが電子帳簿保存法に対応しており、比較的低コストで導入できます。ただし、データ移行の手間、操作方法の習得、既存の業務フローの変更などが必要となるため、十分な準備期間を確保してください。

第二の選択肢は、電子帳簿保存法対応の専用ソフトを追加導入することです。既存の会計システムはそのまま使い続け、電子取引データの保存と管理だけを専用ソフトで行うという方法です。二重管理の手間は増えますが、既存システムへの影響を最小限に抑えられます。

第三の選択肢は、事務処理規程による対応です。システム要件を満たさない場合でも、適切な事務処理規程を整備し、それに従って運用することで法令要件を満たすことができます。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。

2025年現在、すでに完全義務化されているため、対応が遅れている企業は税務調査でのリスクが高まっています。早急な対応が必要です。

Q3: 2025年現在、違反するとすぐに罰則があるのか?

A: 2024年1月から完全義務化され、2025年現在すでに1年以上が経過しています。違反が発覚するのは主に税務調査の際であり、調査のタイミングは企業によって異なりますが、税務当局は電子帳簿保存法の確認を重点項目としています。

税務調査は通常、数年に一度のペースで実施されます。中小企業の場合、5年から10年に一度という場合もあります。したがって、対応が不十分であっても、すぐに問題が表面化するわけではありません。

しかし、2025年現在、税務調査での指摘事例が実際に報告されるようになってきており、対応を先延ばしにすることは極めて危険です。税務調査がいつ実施されるかは予測できませんし、調査が入った際に違反が判明すれば、その時点から遡って問題を指摘される可能性があります。

違反が発覚した場合の影響は深刻です。青色申告の承認取り消しのリスク、重加算税10%の加算(改ざん等の悪質なケースの場合)、会社法違反による過料(最大100万円)などの可能性があります。

また、「やむを得ない事情」がある場合の個別判断という救済措置も存在しますが、これは一時的・例外的な措置であり、恒久的な対策ではありません。システム障害や災害など、客観的にやむを得ない状況であると税務署長が認めた場合に限られます。単に「対応が間に合わなかった」「知らなかった」という理由は、特に2025年の時点では、やむを得ない事情として認められる可能性はほぼないでしょう。

まだ対応できていない企業は、今すぐに対応を開始することが最もリスクが低く、長期的にはコストも抑えられる選択です。

Q4: 小規模事業者も対象なのか?

A: 電子帳簿保存法における電子取引データの保存義務は、事業規模に関係なく、電子取引を行うすべての事業者が対象となります。個人事業主、中小企業、大企業を問わず、メールで請求書を受け取る、ECサイトで物品を購入するなど、何らかの形で電子取引を行っている限り、法令の対象となります。

「うちは小さな会社だから関係ない」という認識は誤りです。むしろ、規模の小さい事業者ほど、メール添付のPDF請求書を印刷して保存しているだけ、といった不適切な対応をしているケースが多く、税務調査で指摘されるリスクが高いと言えます。

ただし、小規模事業者に対する一定の配慮措置も設けられています。令和5年度税制改正により、基準期間(原則2年前)の売上高が5,000万円以下の事業者については、税務職員のダウンロード要求に応じることができる場合、検索機能の確保が不要とされています。

これは、電子取引データを単にフォルダに保存しておくだけでも、税務調査の際にデータをダウンロードして提供できれば良いということです。高度な検索システムを導入する必要がないため、小規模事業者にとっては対応のハードルが下がります。

また、事務処理規程による対応は、システム投資が難しい小規模事業者にとって現実的な選択肢です。国税庁のサンプルを参考に規程を作成し、それに従って適切に運用すれば、大きなコストをかけずに法令要件を満たすことができます。

規模の大小に関わらず、電子取引を行っているすべての事業者は、自社の状況を確認し、適切な対応を行う必要があります。2025年現在、対応の遅れは税務調査での指摘リスクに直結します。


まとめ

まとめ

電子帳簿保存法への対応は、2024年1月からの完全義務化により、もはや選択の余地がない必須の取り組みとなりました。2025年現在、義務化から1年以上が経過し、税務調査での確認も本格化しています。まだ対応できていない企業は、今すぐに取り組みを開始する必要があります。

しかし、2022年の法改正によりタイムスタンプ要件が大幅に緩和され、特に中小企業にとって対応しやすい環境が整っています。タイムスタンプそのものは必須ではなくなり、訂正削除履歴が残るシステムの利用や事務処理規程の整備といった代替手段が認められています。多くの企業にとっては、クラウド型の会計システムを適切に選定・運用することで、追加のコスト負担なく法令要件を満たすことが可能でしょう。

一方で、要件を満たさない場合のリスクは決して軽視できません。青色申告の承認取り消し、重加算税の加算、会社法違反による過料といった深刻な影響が生じる可能性があります。税務調査がいつ実施されるかは予測できないため、早期の対応が不可欠です。

適切な電子帳簿保存法対応は、単なる法令遵守にとどまらず、業務効率化、ペーパーレス化、コスト削減といったメリットももたらします。デジタル化の流れは今後も加速していくでしょう。この機会を、企業の経理業務を見直し、デジタル変革を進める契機として捉えることもできます。

まずは現状把握から始めましょう。自社がどのような電子取引を行っているか、現在のシステムが要件を満たしているか、何を改善すべきかを明確にしてください。そして、段階的な計画を立てて、着実に対応を進めることが重要です。

電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があります。最新の情報を常にキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直していく姿勢が求められます。

参考リンク


【重要な訂正事項】

本記事の作成にあたり、最新の法改正情報を反映しています。特に、検索機能の確保が不要となる売上高基準については、2024年1月1日以降、基準期間の売上高が 5,000万円以下 の事業者に拡大されています(従来は1,000万円以下)。これは令和5年度税制改正によるものです。最新の国税庁公式情報を必ずご確認ください。

クラウドサービスの場合、サービスが長期間継続される見込みがあるか、サービス終了時のデータ移行方法が明確になっているかを確認してください。2025年現在、一部のクラウドサービスではサービス終了のケースも出てきており、データ移行の問題が実際に発生しています。また、システムのバージョンアップやOSのアップデートがあっても、過去のデータにアクセスできるかも重要なポイントです。オンプレミス型のシステムの場合は、ハードウェアの故障やソフトウェアのサポート終了に対する備えも考慮する必要があります。

訂正削除履歴が残るシステムの重要性

訂正削除履歴機能は、タイムスタンプに代わる真実性確保の要として、現在の電子帳簿保存法対応において最も重要な機能と言えるでしょう。この機能が適切に実装されていれば、タイムスタンプサービスとの契約という追加コストなしに法令要件を満たすことができます。

理想的な訂正削除履歴機能は、以下の要素を備えています。まず、すべてのデータ変更が自動的に記録されることです。ユーザーが意識的に履歴を残すのではなく、システムが自動的に記録する仕組みであることが重要です。次に、変更の詳細情報として、変更日時、変更者、変更前の値、変更後の値がすべて記録されることです。

さらに、履歴データ自体の改ざん防止も必要です。一般ユーザーはもちろん、システム管理者であっても履歴データを削除したり改ざんしたりできない仕組みになっていることが望ましいでしょう。また、履歴の閲覧・検索機能として、必要な時に容易に履歴を確認できることも実務上重要です。

訂正削除ができないシステムを選択する場合は、業務フローとの整合性を慎重に検討する必要があります。一度保存したデータを修正できないということは、入力ミスがあった場合に訂正できないことを意味します。そのため、データ入力前の確認プロセスを厳格化する、または取消・再入力という形で対応できる業務フローを構築するといった対策が必要となります。

クラウド型vs.オンプレミス型の選択

電子帳簿保存法に対応するシステムを選ぶ際、クラウド型とオンプレミス型のどちらを選択するかは重要な判断ポイントです。それぞれにメリットとデメリットがあり、企業の規模、業態、セキュリティポリシー、IT投資予算などに応じて適切な選択が異なります。

クラウド型システムのメリットとして、まず初期投資の低さが挙げられます。サーバーやネットワーク機器の購入が不要で、月額利用料のみで導入できるため、中小企業でも手軽に始められます。また、システムの運用管理がサービス事業者側で行われるため、自社でのIT人材が限られている場合でも安心です。

法改正への対応も自動的に行われる点は大きなメリットです。電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があり、その都度システムを更新する必要がありますが、クラウドサービスであれば事業者側で対応してくれます。さらに、場所を問わずアクセスできるため、テレワークや複数拠点での利用にも適しています。

一方、クラウド型のデメリットとして、月額料金が継続的に発生することや、インターネット接続が必須であること、サービス事業者のセキュリティポリシーに依存することなどが挙げられます。特に、機密性の高い財務情報を外部のサーバーに保存することに抵抗がある企業もあるでしょう。また、2025年現在、一部のクラウドサービスでサービス終了やプラン変更が発生しており、長期的な安定性についても慎重な検討が必要です。

オンプレミス型システムのメリットは、自社の完全なコントロール下でシステムを運用できることです。セキュリティポリシーを自社の基準で設定でき、データも自社のサーバー内に保管されます。また、インターネット接続が不安定な環境でも安定して利用できます。カスタマイズの自由度が高く、既存の基幹システムとの連携もしやすい場合があります。

オンプレミス型のデメリットとして、初期投資が高額になること、システムの運用管理に専門知識が必要なこと、法改正への対応を個別に行う必要があることなどがあります。また、長期保存の観点では、ハードウェアの更新やソフトウェアのサポート終了への対応を自社で計画的に行う必要があります。

中小企業においては、初期コストの低さ、運用の容易さ、法改正への自動対応といったメリットから、クラウド型が推奨されるケースが多いでしょう。一方、大企業や特殊なセキュリティ要件がある業種では、オンプレミス型やプライベートクラウドの選択も検討に値します。

企業が今すぐ確認すべきポイント

企業が今すぐ確認すべきポイン

実務チェックリストで現状を把握する

電子帳簿保存法への対応状況を確認するために、以下のチェックリストを活用してください。2025年現在、完全義務化から1年以上が経過していますが、まだ十分な対応ができていない企業は速やかに改善が必要です。各項目について現状を点検し、対応が不十分な点があれば直ちに改善策を講じることが重要です。

まず、電子取引の実態把握から始めましょう。自社がどのような形で電子取引を行っているかを洗い出します。メールで請求書や領収書を受け取っているか、ECサイトで物品を購入しているか、クラウドサービスを利用しているか、EDI取引を行っているかなど、すべての電子取引をリストアップしてください。この作業を怠ると、一部の電子取引が法令対応から漏れてしまうリスクがあります。

次に、対象データの保存状況を確認します。電子取引で受け取ったデータを、現在どのように保存しているでしょうか。メールの添付ファイルをそのままメールソフト内に残しているだけでは不十分です。また、PDFファイルを印刷して紙で保存しているという対応も、2024年1月以降は原則として認められません。データのまま、適切な保存場所に整理して保存する必要があります。

システムの要件適合性も重要なチェックポイントです。使用している会計システムや文書管理システムが、訂正削除履歴を記録する機能を持っているか確認してください。機能があっても、その機能が有効になっているか、適切に動作しているかも確認が必要です。システムベンダーに問い合わせて、電子帳簿保存法の要件を満たしているかの確認書を取得しておくことも有効です。

検索機能の確保について、取引年月日、取引金額、取引先名で検索できる状態になっているかを確認します。システム上で検索できる場合は問題ありませんが、システムに検索機能がない場合は、Excelなどで索引簿を作成する必要があります。ただし、基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務職員のダウンロード要求に応じられる場合は、検索機能の確保が不要です。

可視性の確保として、ディスプレイ表示と印刷出力が速やかにできるかを確認します。システムへのログインが容易か、データの表示が速いか、印刷が正常にできるかなど、税務調査の際に調査官の要求に即座に対応できる状態になっているかをチェックしてください。

システム関係書類の整備も忘れてはいけません。使用しているシステムのマニュアル、システム仕様書、操作説明書などを整備し、いつでも提示できる状態にしておく必要があります。特に、システムが電子帳簿保存法の要件を満たしていることを説明できる資料は重要です。

事務処理規程の策定は、タイムスタンプや訂正削除履歴機能を使わない場合に必要となります。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。作成しただけで運用していない場合は、要件を満たさないと判断される可能性があります。

従業員教育の実施も重要な対応事項です。電子帳簿保存法の基本的な内容、自社の対応方針、システムの操作方法、事務処理規程の内容などについて、関係する従業員に周知・教育を行ってください。特に、経理部門だけでなく、請求書や領収書を受け取る可能性のあるすべての部門が対象となります。

税務調査時の対応手順も事前に整備しておくべきです。税務調査の際にどのようにデータを提示するか、誰が対応するか、どのシステムを使って説明するかなど、手順を明確にしておくと、実際の調査の際に慌てずに対応できます。2025年以降の税務調査では電子帳簿保存法の確認が標準化されているため、事前準備が不可欠です。

データのバックアップ体制は、長期保存の観点から不可欠です。システム障害やサイバー攻撃、災害などに備えて、定期的なバックアップと、バックアップデータからの復元テストを実施してください。クラウドサービスを使用している場合でも、サービス事業者のバックアップとは別に、自社でもデータをエクスポートして保管しておくことが推奨されます。

事務処理規程の整備方法

タイムスタンプや訂正削除履歴機能を利用しない場合、または補完的な措置として、事務処理規程の整備が必要となります。事務処理規程とは、電子取引データの適正な保存を確保するための社内ルールを文書化したものです。

規程には、最低限以下の内容を含める必要があります。まず、電子取引データの保存に関する基本方針として、電子帳簿保存法を遵守すること、電子取引データの改ざん・削除を防止することなどを明記します。

組織体制と責任者の明確化も重要です。電子取引データの管理責任者、処理責任者、承認者などの役割と権限を明確にし、誰が何に責任を持つかを規定します。小規模企業の場合は、代表者が管理責任者となり、経理担当者が処理責任者となるケースが多いでしょう。

データの授受から保存までの業務フローを詳細に記述します。電子取引データを受領した際の処理手順、保存場所、ファイル名の付け方、フォルダ構成、保存期限などを具体的に定めます。実務に即した内容にすることが重要で、実際には守れないような理想論を書いても意味がありません。

訂正・削除に関するルールは規程の核心部分です。電子取引データの訂正・削除を原則禁止とすること、やむを得ず訂正・削除する場合の承認手続き、訂正・削除の記録方法などを明確に定めます。承認者の明確化、承認の記録方法、事後の確認手続きなども規定してください。

定期的な点検と改善の手順も規程に含めます。定期的(例:半年に1回)にデータの保存状況を点検し、問題があれば改善する仕組みを構築します。点検の実施時期、点検者、点検内容、改善措置の決定方法などを規定してください。

規程を作成したら、関係者に周知し、実際に運用を開始します。規程を作成しただけで実際には運用していない場合、税務調査の際に要件を満たしていないと判断される可能性があります。また、規程の内容と実際の運用に乖離が生じた場合は、実態に合わせて規程を改訂することも必要です。

段階的な導入ステップ

電子帳簿保存法への対応は、一度に完璧を目指すのではなく、段階的に進めることが現実的です。2025年現在、すでに完全義務化されているため、速やかな対応が求められますが、以下の3段階で計画的に取り組むことをお勧めします。

第1段階:現状把握と計画策定(1〜2週間)では、まず自社の電子取引の範囲を特定します。どのような取引が電子的に行われているか、どのようなデータを保存する必要があるか、月間・年間でどの程度のデータ量になるかを把握します。

次に、既存システムの機能を確認します。現在使用している会計システムや文書管理システムが、電子帳簿保存法の要件を満たしているか、訂正削除履歴機能があるか、検索機能は十分かなどを詳細にチェックします。

これらの情報を基に、自社の対応方針を決定します。既存システムで対応可能か、新しいシステムの導入が必要か、タイムスタンプサービスを利用するか、事務処理規程で対応するかなど、複数の選択肢を検討し、自社に最も適した方法を選択します。

そして、具体的な実施計画を策定します。システム導入が必要な場合はそのスケジュール、事務処理規程の作成スケジュール、従業員教育の計画、予算などを明確にします。

第2段階:システム整備と規程策定(2〜4週間)では、決定した方針に基づいて実際の準備を進めます。新しいシステムを導入する場合は、選定、契約、設定、テストを行います。既存システムを活用する場合は、必要な設定変更や機能の有効化を行います。

事務処理規程を策定する場合は、国税庁のサンプルを参考にしながら自社の実情に合わせた規程を作成し、関係者の承認を得ます。

本格運用前に、小規模なテスト運用を実施することをお勧めします。一部の部門や一部の取引について先行して新しい運用を始め、問題点を洗い出します。データの保存、検索、表示、印刷などが想定通りに機能するか、業務フローに無理がないかを確認します。

第3段階:本格運用と改善(継続)では、まず従業員研修を実施します。電子帳簿保存法の基本知識、自社の対応方針、システムの操作方法、事務処理規程の内容などについて、関係者全員に教育を行います。単に知識を伝えるだけでなく、実際の操作を体験させるハンズオン研修が効果的です。

本格運用を開始したら、運用状況を継続的に監視します。データが適切に保存されているか、規程が守られているか、システムが正常に動作しているかなどを定期的にチェックします。

問題点が見つかった場合は、速やかに改善します。システムの設定変更、業務フローの見直し、規程の改訂、追加研修の実施など、必要な措置を講じます。

法令の改正にも注意を払う必要があります。電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があり、改正内容を速やかにキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直します。

よくある質問と回答

よくある質問と回答

Q1: タイムスタンプは完全に不要になったのか?

A: タイムスタンプが完全に不要になったわけではありません。正確には、「一定の条件を満たせば不要」というのが現状です。

訂正削除履歴が残るシステムを利用している場合、訂正削除が技術的にできないシステムを使用している場合、または事務処理規程を整備して運用している場合は、タイムスタンプの付与が不要となります。また、取引相手から既にタイムスタンプが付与されたデータを受領した場合も、受領者側での付与は不要です。

一方、これらの条件を満たさない場合は、従来通りタイムスタンプの付与が必要です。ただし、付与期限は「最長約2か月と概ね7営業日以内」に延長されており、従来の「3営業日以内」よりは対応しやすくなっています。

2025年現在、多くの企業はクラウド型の会計システムなど訂正削除履歴が残るシステムを利用することで、タイムスタンプサービスとの契約なしに法令要件を満たしています。自社の状況に応じて、最も適切な方法を選択することが重要です。

Q2: 既存のソフトが対応していない場合はどうすればよいか?

A: 既存のソフトウェアが電子帳簿保存法に対応していない場合、まずソフトウェアベンダーに対応状況を確認することから始めましょう。

多くのベンダーは、法改正に対応したアップデートを提供しています。アップデートが予定されている場合は、そのスケジュールを確認し、リリース後速やかに適用してください。無償アップデートか有償アップデートかも確認が必要です。

ベンダーが対応予定がない、または対応が大幅に遅れる場合は、以下の選択肢を検討します。

第一の選択肢は、対応済みソフトへの乗り換えです。現在では多くのクラウド型会計システムが電子帳簿保存法に対応しており、比較的低コストで導入できます。ただし、データ移行の手間、操作方法の習得、既存の業務フローの変更などが必要となるため、十分な準備期間を確保してください。

第二の選択肢は、電子帳簿保存法対応の専用ソフトを追加導入することです。既存の会計システムはそのまま使い続け、電子取引データの保存と管理だけを専用ソフトで行うという方法です。二重管理の手間は増えますが、既存システムへの影響を最小限に抑えられます。

第三の選択肢は、事務処理規程による対応です。システム要件を満たさない場合でも、適切な事務処理規程を整備し、それに従って運用することで法令要件を満たすことができます。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。

2025年現在、すでに完全義務化されているため、対応が遅れている企業は税務調査でのリスクが高まっています。早急な対応が必要です。

Q3: 2025年現在、違反するとすぐに罰則があるのか?

A: 2024年1月から完全義務化され、2025年現在すでに1年以上が経過しています。違反が発覚するのは主に税務調査の際であり、調査のタイミングは企業によって異なりますが、税務当局は電子帳簿保存法の確認を重点項目としています。

税務調査は通常、数年に一度のペースで実施されます。中小企業の場合、5年から10年に一度という場合もあります。したがって、対応が不十分であっても、すぐに問題が表面化するわけではありません。

しかし、2025年現在、税務調査での指摘事例が実際に報告されるようになってきており、対応を先延ばしにすることは極めて危険です。税務調査がいつ実施されるかは予測できませんし、調査が入った際に違反が判明すれば、その時点から遡って問題を指摘される可能性があります。

違反が発覚した場合の影響は深刻です。青色申告の承認取り消しのリスク、重加算税10%の加算(改ざん等の悪質なケースの場合)、会社法違反による過料(最大100万円)などの可能性があります。

また、「やむを得ない事情」がある場合の個別判断という救済措置も存在しますが、これは一時的・例外的な措置であり、恒久的な対策ではありません。システム障害や災害など、客観的にやむを得ない状況であると税務署長が認めた場合に限られます。単に「対応が間に合わなかった」「知らなかった」という理由は、特に2025年の時点では、やむを得ない事情として認められる可能性はほぼないでしょう。

まだ対応できていない企業は、今すぐに対応を開始することが最もリスクが低く、長期的にはコストも抑えられる選択です。

Q4: 小規模事業者も対象なのか?

A: 電子帳簿保存法における電子取引データの保存義務は、事業規模に関係なく、電子取引を行うすべての事業者が対象となります。個人事業主、中小企業、大企業を問わず、メールで請求書を受け取る、ECサイトで物品を購入するなど、何らかの形で電子取引を行っている限り、法令の対象となります。

「うちは小さな会社だから関係ない」という認識は誤りです。むしろ、規模の小さい事業者ほど、メール添付のPDF請求書を印刷して保存しているだけ、といった不適切な対応をしているケースが多く、税務調査で指摘されるリスクが高いと言えます。

ただし、小規模事業者に対する一定の配慮措置も設けられています。令和5年度税制改正により、基準期間(原則2年前)の売上高が5,000万円以下の事業者については、税務職員のダウンロード要求に応じることができる場合、検索機能の確保が不要とされています。

これは、電子取引データを単にフォルダに保存しておくだけでも、税務調査の際にデータをダウンロードして提供できれば良いということです。高度な検索システムを導入する必要がないため、小規模事業者にとっては対応のハードルが下がります。

また、事務処理規程による対応は、システム投資が難しい小規模事業者にとって現実的な選択肢です。国税庁のサンプルを参考に規程を作成し、それに従って適切に運用すれば、大きなコストをかけずに法令要件を満たすことができます。

規模の大小に関わらず、電子取引を行っているすべての事業者は、自社の状況を確認し、適切な対応を行う必要があります。2025年現在、対応の遅れは税務調査での指摘リスクに直結します。


まとめ

まとめ

電子帳簿保存法への対応は、2024年1月からの完全義務化により、もはや選択の余地がない必須の取り組みとなりました。2025年現在、義務化から1年以上が経過し、税務調査での確認も本格化しています。まだ対応できていない企業は、今すぐに取り組みを開始する必要があります。

しかし、2022年の法改正によりタイムスタンプ要件が大幅に緩和され、特に中小企業にとって対応しやすい環境が整っています。タイムスタンプそのものは必須ではなくなり、訂正削除履歴が残るシステムの利用や事務処理規程の整備といった代替手段が認められています。多くの企業にとっては、クラウド型の会計システムを適切に選定・運用することで、追加のコスト負担なく法令要件を満たすことが可能でしょう。

一方で、要件を満たさない場合のリスクは決して軽視できません。青色申告の承認取り消し、重加算税の加算、会社法違反による過料といった深刻な影響が生じる可能性があります。税務調査がいつ実施されるかは予測できないため、早期の対応が不可欠です。

適切な電子帳簿保存法対応は、単なる法令遵守にとどまらず、業務効率化、ペーパーレス化、コスト削減といったメリットももたらします。デジタル化の流れは今後も加速していくでしょう。この機会を、企業の経理業務を見直し、デジタル変革を進める契機として捉えることもできます。

まずは現状把握から始めましょう。自社がどのような電子取引を行っているか、現在のシステムが要件を満たしているか、何を改善すべきかを明確にしてください。そして、段階的な計画を立てて、着実に対応を進めることが重要です。

電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があります。最新の情報を常にキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直していく姿勢が求められます。

参考リンク


【重要な訂正事項】

本記事の作成にあたり、最新の法改正情報を反映しています。特に、検索機能の確保が不要となる売上高基準については、2024年1月1日以降、基準期間の売上高が 5,000万円以下 の事業者に拡大されています(従来は1,000万円以下)。これは令和5年度税制改正によるものです。最新の国税庁公式情報を必ずご確認ください。

タイムスタンプの役割と必要性

タイムスタンプの役割と必要性

タイムスタンプとは何か

タイムスタンプとは、電子文書が特定の時刻に確かに存在していたこと、そしてその時刻以降に改ざんされていないことを証明する電子的な技術です。日本データ通信協会(JADAC)が認定する時刻認証業務認定事業者(TSA:Time Stamping Authority)が発行する電子証明書の一種で、いわば電子文書の「公証人」のような役割を果たします。 タイムスタンプには2つの重要な機能があります。第一に「存在証明」です。タイムスタンプが付与された時刻に、その電子文書が確かに存在していたことを技術的に証明します。第二に「非改ざん証明」です。タイムスタンプ付与後にデータが少しでも変更されると、その事実が検出される仕組みになっています。 この技術は、ハッシュ値という数学的な手法を用いています。電子文書から一意の「指紋」のようなデータを生成し、それを時刻情報とともに暗号化して記録します。後でその文書を検証する際に、改めてハッシュ値を計算し、元のタイムスタンプのハッシュ値と比較することで、改ざんの有無を確認できるのです。

なぜタイムスタンプが重要視されてきたのか

電子データは紙の文書と異なり、複製や改ざんが容易であるという特性を持っています。同じファイルを無限に複製できる一方で、元のデータと複製されたデータを区別することは困難です。また、修正の痕跡を残さずにデータを書き換えることも技術的には可能です。 税務上の証憑書類として電子データを認めるためには、このような電子データ特有のリスクに対処し、真実性(本当にその取引があったという証明)と可視性(必要なときにすぐに確認できる状態)を確保する必要があります。タイムスタンプは、この真実性を技術的に担保する重要な手段として位置づけられてきました。 従来の電子帳簿保存法では、電子取引データやスキャナ保存においてタイムスタンプの付与がほぼ必須とされており、タイムスタンプサービスとの契約が必要でした。しかし、特に中小企業にとっては、タイムスタンプサービスの利用コストや運用の複雑さが、電子化への大きな障壁となっていたのが実情です。

改正によるタイムスタンプ要件の緩和

2022年の改正により、タイムスタンプに関する要件が大幅に緩和されました。国税庁の改正資料によれば、この緩和は主に3つの方向性で行われています。 第一に、タイムスタンプの付与期限が「最長約2か月と概ね7営業日以内」に延長されました。従来の「3営業日以内」という短期間では、日々の業務の中でタイムスタンプを付与する作業が大きな負担となっていましたが、月次決算のサイクルに合わせた運用が可能となり、実務的な対応がしやすくなりました。 第二に、そして最も重要な変更として、一定の条件を満たす場合にはタイムスタンプの付与そのものが不要となる制度が導入されました。具体的には、訂正や削除の履歴が自動的に記録されるシステム、または訂正削除ができないシステムを使用している場合、タイムスタンプに代わってそのシステムの機能が真実性の担保となります。また、事務処理規程を整備し、適切な内部統制を構築することでも、タイムスタンプの付与を不要とすることができます。 第三に、取引相手から既にタイムスタンプが付与されたデータを受領した場合には、受領者側で改めてタイムスタンプを付与する必要はありません。 これらの緩和により、タイムスタンプサービスと契約しなくても法令に対応できる選択肢が大幅に広がり、特に中小企業にとって電子化へのハードルが下がったと言えるでしょう。2025年現在、多くの企業がこれらの代替手段を活用して対応を進めています。

タイムスタンプ未対応ソフトのリスク

タイムスタンプ未対応ソフトのリスク

タイムスタンプが不要になる4つの条件

タイムスタンプが不要になる4つの条件フローチャート

改正電子帳簿保存法では、以下のいずれかの条件を満たせばタイムスタンプの付与が不要となります。これらの条件を正確に理解し、自社の状況に最も適した方法を選択することが重要です。

条件1:タイムスタンプ付きデータの受領では、取引相手が既にタイムスタンプを付与したデータを送付してくれる場合、受領者側で改めてタイムスタンプを付与する必要はありません。ただし、この方法は相手方の対応に依存するため、自社だけでコントロールできない点に注意が必要です。

条件2:速やかなタイムスタンプ付与は、従来からの方法ですが、付与期限が「最長約2か月と概ね7営業日以内」に延長されました。具体的には、事務処理規程を定めている場合は最長2か月と概ね7営業日、定めていない場合は概ね7営業日以内に付与すれば要件を満たします。この方法では、タイムスタンプサービス事業者との契約が必要となり、利用料が発生します。

条件3:訂正削除履歴が残るシステムの利用は、多くの企業にとって最も現実的な選択肢となるでしょう。クラウド型の会計システムや文書管理システムの多くは、データの変更履歴を自動的に記録する機能を備えています。このような機能を持つシステムを使用していれば、タイムスタンプサービスとの契約なしに法令要件を満たすことができます。ただし、使用するシステムが本当にこの要件を満たしているか、システムベンダーに確認することが不可欠です。

また、訂正削除が技術的にできないシステム(一度保存したら変更不可能な仕様のシステム)を使用している場合も、この条件を満たします。

条件4:事務処理規程の整備は、システム要件を満たさない場合の代替手段として位置づけられます。正当な理由がない訂正削除を防止するための社内規程を策定し、それを実際に運用することで、タイムスタンプに代えることができます。国税庁はサンプルの事務処理規程を公開していますので、それを参考に自社の実情に合わせた規程を作成することが推奨されます。

未対応の場合に発生する3つの深刻なリスク

電子帳簿保存法 違反時のリスク 図解

電子帳簿保存法の要件を満たさない場合、企業は複数の重大なリスクに直面します。2025年現在、完全義務化から1年以上が経過し、税務調査での指摘事例も実際に報告されるようになってきました。「まだ罰則事例がないから大丈夫」という認識は極めて危険です。税務調査は予告なく実施されますし、違反が発覚した場合の影響は企業経営に深刻なダメージを与えかねません。

リスク1:青色申告の承認取り消しは、税制上の優遇措置を失うという意味で非常に大きな影響があります。青色申告の承認が取り消されると、最大65万円の青色申告特別控除が受けられなくなります。また、欠損金の繰越控除(最長10年間)や、30万円未満の少額減価償却資産の一括経費計上といった、青色申告事業者だけが利用できる税制上のメリットがすべて使えなくなります。

国税庁の事務運営指針によれば、電子帳簿保存法の要件に従っていない場合、電磁的記録の備付け・保存の程度、改善可能性等を総合的に勘案して、青色申告の承認を取り消すことができるとされています。ただし、違反が発覚した時点で直ちに取り消されるわけではなく、改善の余地や悪質性の程度などが総合的に判断されます。とはいえ、このリスクを軽視すべきではありません。

リスク2:重加算税の10%加算は、改ざんや隠蔽といった悪質な行為があった場合に適用されます。国税庁の改正資料によれば、電子取引の電磁的記録に関して隠蔽または仮装された事実があった場合、その事実に関連して生じた申告漏れ等に課される重加算税が10%加重されます。

通常、重加算税は過少申告の場合で35%、無申告の場合で40%という高い税率が適用されますが、電子データの改ざん等があった場合はこれにさらに10%が上乗せされることになります。つまり、過少申告の場合は45%、無申告の場合は50%という極めて重い税負担が課されることになります。

リスク3:会社法違反による過料も見過ごせないリスクです。国税関係帳簿書類の適正な保存は、税法だけでなく会社法上の義務でもあります。会社法第976条では、会計帳簿の保存義務違反や虚偽の記帳があった場合、100万円以下の過料に処すると規定されています。

過料は刑事罰ではなく行政罰ですが、会社の代表者個人に課されるものであり、代表者個人の責任が問われる点で重大です。

税務調査で指摘される可能性とその実態

電子帳簿保存法の違反が発覚するのは、主に税務調査の際です。2025年現在、完全義務化から1年以上が経過したことで、税務調査での確認項目に電子帳簿保存法の対応状況が必須項目として加わっています。調査官は帳簿書類の保存状況を詳細にチェックします。電子帳簿保存法への対応が不十分な場合、以下のような点が重点的に確認されます。

まず、電子取引データが法令で定められた要件に従って保存されているかが確認されます。メールで受け取った請求書のPDFを印刷して紙で保存しているだけ、といったケースは、2024年1月以降は原則として認められません。データのまま保存し、かつ検索要件や真実性・可視性の要件を満たしている必要があります。

次に、検索機能が確保されているかがチェックされます。取引年月日、取引金額、取引先名の3つの項目で検索できる状態になっているか、またはこれらの項目で整理された索引簿を作成しているかが確認されます。ただし、令和5年度税制改正により、基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000万円以下の事業者については、税務職員のダウンロード要求に応じられる場合、検索機能の確保が不要とされています。

さらに、真実性の要件が満たされているかも重要なチェックポイントです。タイムスタンプが付与されているか、またはタイムスタンプに代わる措置(訂正削除履歴の記録、事務処理規程の整備など)が講じられているかが確認されます。

可視性の要件として、保存されたデータをディスプレイ画面や書面に速やかに出力できるかも確認されます。システムへのログインに時間がかかる、データの検索に手間取る、といった状況は可視性要件を満たさないと判断される可能性があります。

違反が発覚した場合、調査官は過去に遡って確認を行う可能性があります

電子帳簿保存法に対応したソフトの選び方

電子帳簿保存法に対応したソフトの選び方

必須チェックポイント5選

電子帳簿保存法に対応したソフトウェアを選定する際には、単に「電帳法対応」という表示があるだけでは不十分です。2025年現在、市場には多くの対応ソフトウェアが存在していますが、実際の機能や使い勝手は製品によって大きく異なります。以下の5つのポイントを具体的に確認し、自社の業務フローに適合するかを慎重に判断する必要があります。

チェックポイント1:訂正削除履歴機能の実装状況は、タイムスタンプを使わずに法令要件を満たすための核心的な機能です。システムがデータの変更履歴を自動的に記録し、いつ、誰が、どのような変更を行ったかを明確に追跡できることが必要です。デモンストレーションや無料トライアルを通じて、実際にデータを修正した場合に履歴がどのように記録されるかを確認すべきでしょう。

変更前後のデータを比較表示できる機能、変更者のユーザーIDと変更日時が記録される機能、履歴データ自体が改ざんできない仕組みになっているかなど、詳細な仕様を確認してください。また、訂正削除が技術的にできないシステムを選択する場合は、本当に変更不可能な仕様になっているか、バックドアのような裏技的な修正方法が存在しないかも確認が必要です。

チェックポイント2:検索機能の充実度は、可視性要件を満たすために不可欠です。取引年月日、取引金額、取引先名の3項目での検索が基本要件ですが、実務上はさらに細かい条件で検索できることが望ましいでしょう。日付の範囲指定、金額の範囲指定、取引先名の部分一致検索など、柔軟な検索条件が設定できるかを確認してください。

また、検索結果の表示方法も重要です。検索結果が一覧で表示され、そこから個別の取引データや添付ファイルにスムーズにアクセスできるか、検索から表示までの操作がシンプルかどうかも、税務調査の際の対応のしやすさに直結します。

チェックポイント3:可視性の確保として、ディスプレイ表示と書面出力の両方が適切に機能するかを確認する必要があります。保存されたデータを速やかに画面に表示できること、必要に応じて印刷できることは基本要件です。特に、PDFなどの添付ファイルが元の形式で表示・印刷できるか、画像が鮮明に表示されるか、複数ページの文書が正しく表示されるかなどを確認してください。

税務調査の際には、調査官の要求に応じて速やかにデータを提示する必要があります。システムの起動に時間がかかる、ログインに複雑な手順が必要、データの読み込みが遅いといった問題があると、可視性要件を満たさないと判断される可能性があります。

チェックポイント4:JIIMA認証の取得状況は、客観的な品質保証の指標となります。JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)は、電子帳簿保存法の要件を満たすソフトウェアを認証する制度を運営しています。JIIMA認証を取得しているソフトウェアは、第三者機関によって法的要件が確認されているため、一定の信頼性があると言えるでしょう。

ただし、JIIMA認証は主にシステムの機能要件を認証するものであり、認証を取得していれば自動的にすべての法令要件が満たされるわけではありません。事務処理規程の整備や適切な運用など、ソフトウェア以外の要素も法令遵守には必要です。また、認証を取得していないソフトウェアでも、要件を満たしている製品は存在します。

チェックポイント5:長期保存への対応は、見落とされがちですが非常に重要です。帳簿書類の保存期間は原則7年間、欠損金がある場合は10年間と長期にわたります。その期間中、システムがデータにアクセスできる状態を維持できるかを確認する必要があります。

クラウドサービスの場合、サービスが長期間継続される見込みがあるか、サービス終了時のデータ移行方法が明確になっているかを確認してください。2025年現在、一部のクラウドサービスではサービス終了のケースも出てきており、データ移行の問題が実際に発生しています。また、システムのバージョンアップやOSのアップデートがあっても、過去のデータにアクセスできるかも重要なポイントです。オンプレミス型のシステムの場合は、ハードウェアの故障やソフトウェアのサポート終了に対する備えも考慮する必要があります。

訂正削除履歴が残るシステムの重要性

訂正削除履歴機能は、タイムスタンプに代わる真実性確保の要として、現在の電子帳簿保存法対応において最も重要な機能と言えるでしょう。この機能が適切に実装されていれば、タイムスタンプサービスとの契約という追加コストなしに法令要件を満たすことができます。

理想的な訂正削除履歴機能は、以下の要素を備えています。まず、すべてのデータ変更が自動的に記録されることです。ユーザーが意識的に履歴を残すのではなく、システムが自動的に記録する仕組みであることが重要です。次に、変更の詳細情報として、変更日時、変更者、変更前の値、変更後の値がすべて記録されることです。

さらに、履歴データ自体の改ざん防止も必要です。一般ユーザーはもちろん、システム管理者であっても履歴データを削除したり改ざんしたりできない仕組みになっていることが望ましいでしょう。また、履歴の閲覧・検索機能として、必要な時に容易に履歴を確認できることも実務上重要です。

訂正削除ができないシステムを選択する場合は、業務フローとの整合性を慎重に検討する必要があります。一度保存したデータを修正できないということは、入力ミスがあった場合に訂正できないことを意味します。そのため、データ入力前の確認プロセスを厳格化する、または取消・再入力という形で対応できる業務フローを構築するといった対策が必要となります。

クラウド型vs.オンプレミス型の選択

電子帳簿保存法に対応するシステムを選ぶ際、クラウド型とオンプレミス型のどちらを選択するかは重要な判断ポイントです。それぞれにメリットとデメリットがあり、企業の規模、業態、セキュリティポリシー、IT投資予算などに応じて適切な選択が異なります。

クラウド型システムのメリットとして、まず初期投資の低さが挙げられます。サーバーやネットワーク機器の購入が不要で、月額利用料のみで導入できるため、中小企業でも手軽に始められます。また、システムの運用管理がサービス事業者側で行われるため、自社でのIT人材が限られている場合でも安心です。

法改正への対応も自動的に行われる点は大きなメリットです。電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があり、その都度システムを更新する必要がありますが、クラウドサービスであれば事業者側で対応してくれます。さらに、場所を問わずアクセスできるため、テレワークや複数拠点での利用にも適しています。

一方、クラウド型のデメリットとして、月額料金が継続的に発生することや、インターネット接続が必須であること、サービス事業者のセキュリティポリシーに依存することなどが挙げられます。特に、機密性の高い財務情報を外部のサーバーに保存することに抵抗がある企業もあるでしょう。また、2025年現在、一部のクラウドサービスでサービス終了やプラン変更が発生しており、長期的な安定性についても慎重な検討が必要です。

オンプレミス型システムのメリットは、自社の完全なコントロール下でシステムを運用できることです。セキュリティポリシーを自社の基準で設定でき、データも自社のサーバー内に保管されます。また、インターネット接続が不安定な環境でも安定して利用できます。カスタマイズの自由度が高く、既存の基幹システムとの連携もしやすい場合があります。

オンプレミス型のデメリットとして、初期投資が高額になること、システムの運用管理に専門知識が必要なこと、法改正への対応を個別に行う必要があることなどがあります。また、長期保存の観点では、ハードウェアの更新やソフトウェアのサポート終了への対応を自社で計画的に行う必要があります。

中小企業においては、初期コストの低さ、運用の容易さ、法改正への自動対応といったメリットから、クラウド型が推奨されるケースが多いでしょう。一方、大企業や特殊なセキュリティ要件がある業種では、オンプレミス型やプライベートクラウドの選択も検討に値します。

企業が今すぐ確認すべきポイント

企業が今すぐ確認すべきポイン

実務チェックリストで現状を把握する

電子帳簿保存法への対応状況を確認するために、以下のチェックリストを活用してください。2025年現在、完全義務化から1年以上が経過していますが、まだ十分な対応ができていない企業は速やかに改善が必要です。各項目について現状を点検し、対応が不十分な点があれば直ちに改善策を講じることが重要です。

まず、電子取引の実態把握から始めましょう。自社がどのような形で電子取引を行っているかを洗い出します。メールで請求書や領収書を受け取っているか、ECサイトで物品を購入しているか、クラウドサービスを利用しているか、EDI取引を行っているかなど、すべての電子取引をリストアップしてください。この作業を怠ると、一部の電子取引が法令対応から漏れてしまうリスクがあります。

次に、対象データの保存状況を確認します。電子取引で受け取ったデータを、現在どのように保存しているでしょうか。メールの添付ファイルをそのままメールソフト内に残しているだけでは不十分です。また、PDFファイルを印刷して紙で保存しているという対応も、2024年1月以降は原則として認められません。データのまま、適切な保存場所に整理して保存する必要があります。

システムの要件適合性も重要なチェックポイントです。使用している会計システムや文書管理システムが、訂正削除履歴を記録する機能を持っているか確認してください。機能があっても、その機能が有効になっているか、適切に動作しているかも確認が必要です。システムベンダーに問い合わせて、電子帳簿保存法の要件を満たしているかの確認書を取得しておくことも有効です。

検索機能の確保について、取引年月日、取引金額、取引先名で検索できる状態になっているかを確認します。システム上で検索できる場合は問題ありませんが、システムに検索機能がない場合は、Excelなどで索引簿を作成する必要があります。ただし、基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務職員のダウンロード要求に応じられる場合は、検索機能の確保が不要です。

可視性の確保として、ディスプレイ表示と印刷出力が速やかにできるかを確認します。システムへのログインが容易か、データの表示が速いか、印刷が正常にできるかなど、税務調査の際に調査官の要求に即座に対応できる状態になっているかをチェックしてください。

システム関係書類の整備も忘れてはいけません。使用しているシステムのマニュアル、システム仕様書、操作説明書などを整備し、いつでも提示できる状態にしておく必要があります。特に、システムが電子帳簿保存法の要件を満たしていることを説明できる資料は重要です。

事務処理規程の策定は、タイムスタンプや訂正削除履歴機能を使わない場合に必要となります。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。作成しただけで運用していない場合は、要件を満たさないと判断される可能性があります。

従業員教育の実施も重要な対応事項です。電子帳簿保存法の基本的な内容、自社の対応方針、システムの操作方法、事務処理規程の内容などについて、関係する従業員に周知・教育を行ってください。特に、経理部門だけでなく、請求書や領収書を受け取る可能性のあるすべての部門が対象となります。

税務調査時の対応手順も事前に整備しておくべきです。税務調査の際にどのようにデータを提示するか、誰が対応するか、どのシステムを使って説明するかなど、手順を明確にしておくと、実際の調査の際に慌てずに対応できます。2025年以降の税務調査では電子帳簿保存法の確認が標準化されているため、事前準備が不可欠です。

データのバックアップ体制は、長期保存の観点から不可欠です。システム障害やサイバー攻撃、災害などに備えて、定期的なバックアップと、バックアップデータからの復元テストを実施してください。クラウドサービスを使用している場合でも、サービス事業者のバックアップとは別に、自社でもデータをエクスポートして保管しておくことが推奨されます。

事務処理規程の整備方法

タイムスタンプや訂正削除履歴機能を利用しない場合、または補完的な措置として、事務処理規程の整備が必要となります。事務処理規程とは、電子取引データの適正な保存を確保するための社内ルールを文書化したものです。

規程には、最低限以下の内容を含める必要があります。まず、電子取引データの保存に関する基本方針として、電子帳簿保存法を遵守すること、電子取引データの改ざん・削除を防止することなどを明記します。

組織体制と責任者の明確化も重要です。電子取引データの管理責任者、処理責任者、承認者などの役割と権限を明確にし、誰が何に責任を持つかを規定します。小規模企業の場合は、代表者が管理責任者となり、経理担当者が処理責任者となるケースが多いでしょう。

データの授受から保存までの業務フローを詳細に記述します。電子取引データを受領した際の処理手順、保存場所、ファイル名の付け方、フォルダ構成、保存期限などを具体的に定めます。実務に即した内容にすることが重要で、実際には守れないような理想論を書いても意味がありません。

訂正・削除に関するルールは規程の核心部分です。電子取引データの訂正・削除を原則禁止とすること、やむを得ず訂正・削除する場合の承認手続き、訂正・削除の記録方法などを明確に定めます。承認者の明確化、承認の記録方法、事後の確認手続きなども規定してください。

定期的な点検と改善の手順も規程に含めます。定期的(例:半年に1回)にデータの保存状況を点検し、問題があれば改善する仕組みを構築します。点検の実施時期、点検者、点検内容、改善措置の決定方法などを規定してください。

規程を作成したら、関係者に周知し、実際に運用を開始します。規程を作成しただけで実際には運用していない場合、税務調査の際に要件を満たしていないと判断される可能性があります。また、規程の内容と実際の運用に乖離が生じた場合は、実態に合わせて規程を改訂することも必要です。

段階的な導入ステップ

電子帳簿保存法への対応は、一度に完璧を目指すのではなく、段階的に進めることが現実的です。2025年現在、すでに完全義務化されているため、速やかな対応が求められますが、以下の3段階で計画的に取り組むことをお勧めします。

第1段階:現状把握と計画策定(1〜2週間)では、まず自社の電子取引の範囲を特定します。どのような取引が電子的に行われているか、どのようなデータを保存する必要があるか、月間・年間でどの程度のデータ量になるかを把握します。

次に、既存システムの機能を確認します。現在使用している会計システムや文書管理システムが、電子帳簿保存法の要件を満たしているか、訂正削除履歴機能があるか、検索機能は十分かなどを詳細にチェックします。

これらの情報を基に、自社の対応方針を決定します。既存システムで対応可能か、新しいシステムの導入が必要か、タイムスタンプサービスを利用するか、事務処理規程で対応するかなど、複数の選択肢を検討し、自社に最も適した方法を選択します。

そして、具体的な実施計画を策定します。システム導入が必要な場合はそのスケジュール、事務処理規程の作成スケジュール、従業員教育の計画、予算などを明確にします。

第2段階:システム整備と規程策定(2〜4週間)では、決定した方針に基づいて実際の準備を進めます。新しいシステムを導入する場合は、選定、契約、設定、テストを行います。既存システムを活用する場合は、必要な設定変更や機能の有効化を行います。

事務処理規程を策定する場合は、国税庁のサンプルを参考にしながら自社の実情に合わせた規程を作成し、関係者の承認を得ます。

本格運用前に、小規模なテスト運用を実施することをお勧めします。一部の部門や一部の取引について先行して新しい運用を始め、問題点を洗い出します。データの保存、検索、表示、印刷などが想定通りに機能するか、業務フローに無理がないかを確認します。

第3段階:本格運用と改善(継続)では、まず従業員研修を実施します。電子帳簿保存法の基本知識、自社の対応方針、システムの操作方法、事務処理規程の内容などについて、関係者全員に教育を行います。単に知識を伝えるだけでなく、実際の操作を体験させるハンズオン研修が効果的です。

本格運用を開始したら、運用状況を継続的に監視します。データが適切に保存されているか、規程が守られているか、システムが正常に動作しているかなどを定期的にチェックします。

問題点が見つかった場合は、速やかに改善します。システムの設定変更、業務フローの見直し、規程の改訂、追加研修の実施など、必要な措置を講じます。

法令の改正にも注意を払う必要があります。電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があり、改正内容を速やかにキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直します。

よくある質問と回答

よくある質問と回答

Q1: タイムスタンプは完全に不要になったのか?

A: タイムスタンプが完全に不要になったわけではありません。正確には、「一定の条件を満たせば不要」というのが現状です。

訂正削除履歴が残るシステムを利用している場合、訂正削除が技術的にできないシステムを使用している場合、または事務処理規程を整備して運用している場合は、タイムスタンプの付与が不要となります。また、取引相手から既にタイムスタンプが付与されたデータを受領した場合も、受領者側での付与は不要です。

一方、これらの条件を満たさない場合は、従来通りタイムスタンプの付与が必要です。ただし、付与期限は「最長約2か月と概ね7営業日以内」に延長されており、従来の「3営業日以内」よりは対応しやすくなっています。

2025年現在、多くの企業はクラウド型の会計システムなど訂正削除履歴が残るシステムを利用することで、タイムスタンプサービスとの契約なしに法令要件を満たしています。自社の状況に応じて、最も適切な方法を選択することが重要です。

Q2: 既存のソフトが対応していない場合はどうすればよいか?

A: 既存のソフトウェアが電子帳簿保存法に対応していない場合、まずソフトウェアベンダーに対応状況を確認することから始めましょう。

多くのベンダーは、法改正に対応したアップデートを提供しています。アップデートが予定されている場合は、そのスケジュールを確認し、リリース後速やかに適用してください。無償アップデートか有償アップデートかも確認が必要です。

ベンダーが対応予定がない、または対応が大幅に遅れる場合は、以下の選択肢を検討します。

第一の選択肢は、対応済みソフトへの乗り換えです。現在では多くのクラウド型会計システムが電子帳簿保存法に対応しており、比較的低コストで導入できます。ただし、データ移行の手間、操作方法の習得、既存の業務フローの変更などが必要となるため、十分な準備期間を確保してください。

第二の選択肢は、電子帳簿保存法対応の専用ソフトを追加導入することです。既存の会計システムはそのまま使い続け、電子取引データの保存と管理だけを専用ソフトで行うという方法です。二重管理の手間は増えますが、既存システムへの影響を最小限に抑えられます。

第三の選択肢は、事務処理規程による対応です。システム要件を満たさない場合でも、適切な事務処理規程を整備し、それに従って運用することで法令要件を満たすことができます。国税庁が公開しているサンプルを参考に、自社の実情に合わせた規程を作成し、実際に運用してください。

2025年現在、すでに完全義務化されているため、対応が遅れている企業は税務調査でのリスクが高まっています。早急な対応が必要です。

Q3: 2025年現在、違反するとすぐに罰則があるのか?

A: 2024年1月から完全義務化され、2025年現在すでに1年以上が経過しています。違反が発覚するのは主に税務調査の際であり、調査のタイミングは企業によって異なりますが、税務当局は電子帳簿保存法の確認を重点項目としています。

税務調査は通常、数年に一度のペースで実施されます。中小企業の場合、5年から10年に一度という場合もあります。したがって、対応が不十分であっても、すぐに問題が表面化するわけではありません。

しかし、2025年現在、税務調査での指摘事例が実際に報告されるようになってきており、対応を先延ばしにすることは極めて危険です。税務調査がいつ実施されるかは予測できませんし、調査が入った際に違反が判明すれば、その時点から遡って問題を指摘される可能性があります。

違反が発覚した場合の影響は深刻です。青色申告の承認取り消しのリスク、重加算税10%の加算(改ざん等の悪質なケースの場合)、会社法違反による過料(最大100万円)などの可能性があります。

また、「やむを得ない事情」がある場合の個別判断という救済措置も存在しますが、これは一時的・例外的な措置であり、恒久的な対策ではありません。システム障害や災害など、客観的にやむを得ない状況であると税務署長が認めた場合に限られます。単に「対応が間に合わなかった」「知らなかった」という理由は、特に2025年の時点では、やむを得ない事情として認められる可能性はほぼないでしょう。

まだ対応できていない企業は、今すぐに対応を開始することが最もリスクが低く、長期的にはコストも抑えられる選択です。

Q4: 小規模事業者も対象なのか?

A: 電子帳簿保存法における電子取引データの保存義務は、事業規模に関係なく、電子取引を行うすべての事業者が対象となります。個人事業主、中小企業、大企業を問わず、メールで請求書を受け取る、ECサイトで物品を購入するなど、何らかの形で電子取引を行っている限り、法令の対象となります。

「うちは小さな会社だから関係ない」という認識は誤りです。むしろ、規模の小さい事業者ほど、メール添付のPDF請求書を印刷して保存しているだけ、といった不適切な対応をしているケースが多く、税務調査で指摘されるリスクが高いと言えます。

ただし、小規模事業者に対する一定の配慮措置も設けられています。令和5年度税制改正により、基準期間(原則2年前)の売上高が5,000万円以下の事業者については、税務職員のダウンロード要求に応じることができる場合、検索機能の確保が不要とされています。

これは、電子取引データを単にフォルダに保存しておくだけでも、税務調査の際にデータをダウンロードして提供できれば良いということです。高度な検索システムを導入する必要がないため、小規模事業者にとっては対応のハードルが下がります。

また、事務処理規程による対応は、システム投資が難しい小規模事業者にとって現実的な選択肢です。国税庁のサンプルを参考に規程を作成し、それに従って適切に運用すれば、大きなコストをかけずに法令要件を満たすことができます。

規模の大小に関わらず、電子取引を行っているすべての事業者は、自社の状況を確認し、適切な対応を行う必要があります。2025年現在、対応の遅れは税務調査での指摘リスクに直結します。


まとめ

まとめ

電子帳簿保存法への対応は、2024年1月からの完全義務化により、もはや選択の余地がない必須の取り組みとなりました。2025年現在、義務化から1年以上が経過し、税務調査での確認も本格化しています。まだ対応できていない企業は、今すぐに取り組みを開始する必要があります。

しかし、2022年の法改正によりタイムスタンプ要件が大幅に緩和され、特に中小企業にとって対応しやすい環境が整っています。タイムスタンプそのものは必須ではなくなり、訂正削除履歴が残るシステムの利用や事務処理規程の整備といった代替手段が認められています。多くの企業にとっては、クラウド型の会計システムを適切に選定・運用することで、追加のコスト負担なく法令要件を満たすことが可能でしょう。

一方で、要件を満たさない場合のリスクは決して軽視できません。青色申告の承認取り消し、重加算税の加算、会社法違反による過料といった深刻な影響が生じる可能性があります。税務調査がいつ実施されるかは予測できないため、早期の対応が不可欠です。

適切な電子帳簿保存法対応は、単なる法令遵守にとどまらず、業務効率化、ペーパーレス化、コスト削減といったメリットももたらします。デジタル化の流れは今後も加速していくでしょう。この機会を、企業の経理業務を見直し、デジタル変革を進める契機として捉えることもできます。

まずは現状把握から始めましょう。自社がどのような電子取引を行っているか、現在のシステムが要件を満たしているか、何を改善すべきかを明確にしてください。そして、段階的な計画を立てて、着実に対応を進めることが重要です。

電子帳簿保存法は今後も改正される可能性があります。最新の情報を常にキャッチアップし、必要に応じて自社の対応を見直していく姿勢が求められます。

参考リンク


【重要な訂正事項】

本記事の作成にあたり、最新の法改正情報を反映しています。特に、検索機能の確保が不要となる売上高基準については、2024年1月1日以降、基準期間の売上高が 5,000万円以下 の事業者に拡大されています(従来は1,000万円以下)。これは令和5年度税制改正によるものです。最新の国税庁公式情報を必ずご確認ください。